倉木麻衣に「不思議の国」という非常に人気が高い曲がある。
その一部には以下のような歌詞がある。
「ミルメッド通りの公園の 白ウサギがこの街に」
私は倉木麻衣に関わりだした2004年頃から,この歌詞にある「ミルメッド通りの公園」という言葉が気になってたまらなかった。「不思議の国・・・白ウサギ」ときたらこれは間違いなく,イギリスの作家ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」のオマージュだろう。それでは,この“ミルメッド通り”というのはひょっとして「不思議の国のアリス」の作品中に登場する地名なのか?それとも実在の場所なのか?いや,実は架空(倉木がイマジネーションの中に生み出した)場所なのか・・・・?
それがとんでもなく気になった私は,あれから長い間,そう,もう8年間もその謎を追ってきた。しかし,ネットで検索してみるものの手がかりらしいものをつかむことはできず,「不思議の国のアリス」の本文中にも発見できず,ひょっとしてデビュー曲をレコーディングした米国ボストン市に関係があるのだろうかとボストンの地図を隅から隅まで眺めてみたこともある。そして,真実を知るためには,もうこれは倉木さんに直接聞いてみるしかないな・・・。とさえ思うようになっていた。
ところが,ついにその謎が解けたのである!
長い間“ミルメッド”で検索しても関係ありそうなサイトを見つけることができなかったのだが,このたび久々に“ミルメッド”でググって見たところ「ミルメッド・カントリー」というホテルが見つかった。 このミルメッド・カントリーは実は「不思議の国」とは全く無関係であるのだが,このページで"Millmead"というスペルが目についた。今までは"Milmed"や"Millmed"などの検索ワードで探していたのだが,どうしても目的にたどりつくことができなかった。そこで,今度はこの"Millmead"をGoogleMapで検索してみた。すると,自動的に「Millmead, Guildford, United Kingdom」という案内がなされるではないか。そう,イギリスにGuildfordという街がありそこにはなんとMillmead通りが実在するのだ!
http://maps.google.co.jp/→検索窓に"Millmead"と入力 |
しかし,このGuildfordは「不思議の国のアリス」と何か関係があるのだろうか?
・・・あるのだ! ビンゴ!
Guildfordは「不思議の国のアリス」の作者ルイス・キャロルが死去した場所で,彼の墓もこの町にある。
サリー州ギルフォード町はロンドン西南部40数キロのところにある瀟洒なベッドタウン。サリー州はハリー・ポッターの家があるとされる地区。東京に対する神奈川県のような位置にある町らしい。町にはルイス・キャロルの遺品を集めたギルフォード・ミュージアム(詳しいブログ:http://basilst.blog.so-net.ne.jp/2010-12-21)があり,町のあちこちには「マッド・ハッター」という帽子屋もあるという。(詳しいブログ:http://woman.excite.co.jp/blog/sanpo/sid_951867/)
そしてミルメッド(Millmead)とはこの町にある通りの名であるが,GoogleMapでは「ミルメッド」ではなく「ミルミード」と表記されている。外国の地名や人名が日本語で表記されるとき,様々なバリエーションがあるのはよくあることだが,これがMillmeadがなかなか検索に引っかからなかった原因かもしれない。
間違いない。「ミルメッド通り」はイギリス,ギルフォード町にある!では,公園はあるのか?
これも存在した!
この通りの北詰のあたり,東側に「アリスの公園」がある。この公園のことは多くのブログなどで紹介されている
(たとえば:http://apd2.exblog.jp/13134899/
http://basilst.blog.so-net.ne.jp/2010-12-14)が,なんとそこには,まさにアリスと白ウサギの像があるのだ!)
もはや間違えようがない。ここが「FAIRY TALE」の「不思議の国」の“公園”である!
それでは,倉木はギルフォードに行ったことがあるのか?それとも人づてに聞いた話なのか?
これも熱心な倉木ファンならすぐに気がつくだろう。彼女は2000年夏,「Reach for the
sky」のプロモーションビデオ撮影のためにロンドンおよびイングランド南部を訪れている。そしてこれは簡単に探し出せることだが,絶壁セブンシスターズやAlwaysのジャケット撮影をした古城はギルフォードからそれほど遠くない。
ということで,これもおそらくはこの撮影旅行の際倉木自身がギルフォードを訪れ,そしてこの「ミルメッド通りの公園」を実際に目にしていると考えると無理がない。このときこの公園に感銘を受けた倉木は,次回作の「FAIRY TALE」の中にこの公園のイメージを盛り込んだ曲「不思議の国」を作った・・・。これはもうこう考えて間違いないだろう。
というわけで,ようやく長年の謎が解けた。久しぶりの研究であったが,きわめて満足な形でまとめ上げることができた。この満足感を胸にこれからも倉木麻衣を応援していきたいものである。