2004年12月31日,2年連続してNHK紅白歌合戦に出場を果たした倉木麻衣は,大方の予想曲であった「明日へ架ける橋」を熱唱し,大きな感動を巻き起こした。前年の初出場のときはさまざまな批判も浴びたが,今回の出場はおおむね好評であった。以下,問題点を挙げながら総括を行ってみたい。
(1) 2003年紅白概観
2003年,紅白初出場であった倉木の周りは出場前からさまざまな批判に満ち溢れていた。詳しくは補論7「紅白歌合戦の功罪」をごらんいただきたいが,熱心なファンの間でさえ出場には賛否両論があり,「初出場のくせに中継とは生意気だ」といわれのない批判を浴び,当日の出来に関しても歌詞の間違えもありさまざまな疑問符がつけられた。
私自身としては,紅白というより初のテレビ生出演であったことを考えれば,大きな緊張と,劣悪な歌唱環境の中でまずまずの成果をあげ,結果として「Wish You The Best」をミリオンヒットに導いたことを考えれば,倉木側としては大成功であったと言ってよいと思う。
さらに言えば,私が倉木麻衣に興味を示すきっかけになったのもこの年の紅白であったことを考えれば,同じようなファンが多いことを考えても,大いに意味あることであった。
(2) 2004年紅白歌合戦へいたる道筋
さまざまなファンサイトやBlog等を見ると,倉木の2004年紅白歌合戦への出場可能性は50%程度の予想であった。この年はライブを中心に活動した倉木が,たった1枚しかシングルを発表していないことや,大学卒業を迎えて卒業論文等の準備に忙しい時期であるということ,また,昨年「中継問題」等で,一部に心無い中傷があったことなどを理由として,今年は倉木は紅白には出ない,あるいは出るべきではないという議論も目立った。しかし,一方さまざまな不祥事に揺れるNHKと紅白歌合戦への「目玉」のひとつとして出場を期待する向きも多かった。
私はといえば,以下の点から倉木の2004年紅白歌合戦への出場を確信していた。
- 唯一のシングルではあったが,「明日へ架ける橋」はNHKの「よるドラ3部作」の主題歌であったこと
- 2004年の紅白歌合戦のテーマが「希望」「架け橋」と,「明日へ架ける橋」にぴったりと適合するものであったこと
- 2003年の倉木出場時間の視聴率が,「曙vs.ボブ=サップ」戦の裏というハンディを背負いながらもなかなか健闘したこと
このように,NHKにとって,倉木を2004年紅白に招聘することに問題はなかったし,昨年「紅白効果」もあり,ベストアルバムを大ヒットさせ,新たなファンを獲得することにもなった倉木にとっても,紅白に出場することは大きなメリットがあった。
こう考えれば,双方にとって紅白歌合戦出場には何の障害もなく,おそらく出場するであろうと予想がついた。
(3) 紅白歌合戦における倉木麻衣の位置
以下の一覧をご覧いただければ分かるが,2004年の倉木は浜崎あゆみよりも後ろ,事実上「若手POPS歌手のトリ」という最高の位置に置かれた。近年培ってきたNHKとの太いパイプを考えれば十分ありうる位置ではあるのだが,非常に優遇されていることを感じ,ファンには好評であった。
第55回NHK紅白歌合戦~愛、感動、希望の歌を~
第1部 7:30~9:20
- (7:33) 上戸彩 (初)
- (7:37) TOKIO (11)
- (7:40) モーニング娘。 (7) & W (初)
- (7:45) w-inds (3)
- (7:50) aiko (3)
- (7:54) 河口恭吾 (初)
- (7:57) 森山良子 (9)
- (8:02) ジョン健ヌッツォ (2)
- (8:10) 水森かおり (2)
- (8:13) 山本譲二 (13)
- (8:15) 川中美幸 (17)
- (8:18) 堀内孝雄 (16)
- (8:22) BoA (3)
- (8:25) EXILE (2)
- (8:29) 後藤真希 (2) & 松浦亜弥 (4)
- (8:33) nobodyknows+ (初)
- (8:37) 美川憲一 (21)
- (8:41) Every Little Thing (8)
- (8:45) ORANGE RANGE (初)
- (8:49) 島谷ひとみ (3)
- (8:53) 氣志團 (初)
- (8:57) 中村美律子 (11)
- (9:00) 布施明 (20)
- (9:04) 島倉千代子 (35)
- (9:13) 前川清 (14)
- (9:16) 夏川りみ (3)
ニュ-ス(9:20~9:30)
第2部(9:30~11:45)
- (9:30) 平原綾香 (初)
- (9:33) ポルノグラフィティ (3)
- (9:37) 大塚愛 (初)
- (9:40) CHEMISTRY (4)
- (9:44) イ・ジョンヒョン (初)
- (9:48) Ryu (初)
- (10:00) DREAMS COME TRUE (9)
- (10:04) Gackt (4)
- (10:08) 浜崎あゆみ (6)
- (10:12) ゴスペラーズ (4)
- (10:16) 藤あや子 (13)
- (10:19) 長山洋子 (11)
- (10:23) 鳥羽一郎 (17)
- (10:26) 細川たかし (30)
- (10:30) 松平健 (初)
- (10:35) 一青窈 (2)
- (10:42) 和田アキ子 (28)
- (10:47) ゆず (2)
- (10:52) 中島美嘉 (3)
- (10:56) さだまさし (16)
- (11:02) 倉木麻衣 (2)
- (11:06) 森進一 (37)
- (11:09) 坂本冬美 (16)
- (11:12) 北島三郎 (41)
- (11:16) 石川さゆり (27)
- (11:20) 氷川きよし (5)
- (11:24) 平井堅 (4)
- (11:28) 天童よしみ (9)
- (11:32) 五木ひろし (34)
- (11:37) 小林幸子 (26)
(4) コスチューム等
倉木の当日の姿は,出演直前にlivedoor Blog「倉木麻衣のMai.K Diary」や公式FCサイト「Mai-K.net」のDiaryで紹介されていたので,ヘアスタイルやコスチューム等ある程度の予想はついていたが,紅白開会式ではいつものようなパンツスーツで現れ,髪の毛がストレートになっていることのみしか確認できなかった。しかし,歌唱時のコスチュームは珍しくロングスカートの黒いドレスとなり,そのヘアスタイルともあいまって,倉木を実際の年齢(22歳)よりも2~3歳は若く見せていた。
ぺったりとした髪型はファンの間ではあまり好評ではなかったようだが,「明日へ架ける橋」が普遍的な愛と希望の歌であることを考えると,Rits BKCライブのときのような大人っぽいウェーブヘアではなく,清楚なストレートヘアで登場したことは,トータルな意味での「清純派 倉木麻衣」のイメージを定着させることに役立ったのではないかと思う。
(5) パフォーマンス全般
「明日へ架ける橋」を歌うことは分かっていたのだが,ここには意外な設定がなされていた。私を含め多くのファンは,倉木の後ろにはいつものようにジェフリー=クェスト率いるexperienceの面々が控えていると考えていたが,ふたを開けてみるとステージ上にいたのは,倉木のほかには,グランドピアノの前に陣取るマイケル=リーとコーラスのサテンドールの3人のみというシンプルな構成であった。次回のシングル「Love,needing」に収録される「明日へ架ける橋~ballad ver.~」が歌われるのではという噂はあったが,まさかこれほどシンプルにまとめてくるとは予想しなかった。この試みは「マツケンサンバⅡ」をはじめとして派手な衣装や過激なパフォーマンスが目立つ紅白歌合戦において,異彩を放つとともに,倉木の卓越した声と歌唱力を際立たせる結果となった。この歌唱によって新たなファンを獲得することも出来たのではないだろうか。
その証拠に,2005年初頭に倉木のCDがチャートを急上昇し,
- 「明日へ架ける橋」 1月第2週171位 1,112枚 累計 90,588枚 16週
- 「Wish You The Best」 1月第2週191位 2,707枚 累計950,975枚 40週
と再びヒットの兆しが見られた。また,レンタルショップでも倉木のCDが大量に貸し出されている報告もある。これは明らかに「紅白効果」ということが出来よう。
2003年と同じようにそれほどの派手さはなかったが,その美しい歌声と,緊張は見られたが卓越した歌唱力は,昔ながらのファンだけではなく,新たなファンの心もつかんだと言えよう。
(5) 総括
以上のような点から,今年の倉木の紅白出場は地味ではあったが存在感を示すという意味において十分合格点をつけることが出来るものであったと考える。紅白直後の1月5日(実は12月29日にはすでに入手可能)のDVD「Mai Kuraki 5th Anniversary Edition Grow,Step by Step」の発売と,紅白で実際に歌われた,1月26日の「明日へ架ける橋~ballad ver.~」(「Love,needing」のカップリング)のセールスにも大きく貢献するのではないかと期待が持てる。この紅白出場を,シンガーとしての更なる発展へ有効に結び付けてほしいものである。
(6) ファンの反応
最後に,各サイトやBlogに現れたファンの反応をいくつかあげることによって結論のひとつとしたい。
シンプルなバラードアレンジにはびっくり。このアレンジは本人の歌唱力の自信の現われか。
最初は緊張で声が少しうわずっていたが、すぐに持ち直し、力強く、気持ちを搾り出すかのような歌唱は、CD版にはない魅力を出していたように思う。ヘッドホンで繰り返し聞いたが、実によく歌えている。ライブツアーで培った自信と技術がもたらした成果である。
個人的には「Time~」とかの方を歌って欲しいと思うところもなかったわけではないが、今年一年を考えると、この曲でよかったのではと思う。
今回の紅白出場がどれだけ世間から評価され、商的な影響をもたらすかは全くわからない。
でも、一ついえるのは、強烈な個性がなくとも、流行にそっていなくても、常に人々に親しみを感じさせ、前向きでいることの大切さを教えてくれる彼女の存在はやはり貴重ではないだろうか。
瞬間風速的な強さではなく、少しずつ、でも確かに染み渡る曲と歌唱。倉木麻衣の大いなる魅力であろう。
昨年の紅白出場は批判的な意見を述べた。今年も沈没する紅白に引きずられるかもという考えも未だに払拭できない。
来年も新曲を引っ提げて出演して頂きたい。 歌姫バカ一代:バツ丸氏
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シンプルにして簡素なアレンジ!
演奏に誤魔化される事はない!
そこには真の実力のみ試される! Blog kobacrowの終身名誉アイドル:kobacrow氏
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『明日へ架ける橋』
改めて考えてみました。とても良い曲ですね。 Blog PURO'S情報局:PURO氏
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とてもドキドキしましたよ、 Blog 倉木麻衣さんのライブ:syuji3氏
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「明日へ架ける橋」は、
しかし、普段テレビに出ない倉木麻衣としては
倉木麻衣は、歌声だけで全国の聴衆を圧倒できる実力があり
結果としては、緊張してしまったわけですが
歌自体は、最初の部分が緊張していて声が出ず
倉木麻衣のファンとして
全国の一般人という目で見ると
結果として、ホームランを狙いに出て
Blog「司法試験と倉木麻衣」:robasan氏
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