2004年5月~7月,私は幸運にも
「Mai Kuraki 2004 Live Tour "Wish You The Best"~Grow, Step by Step~」
に8度参加することができた。
5月 2日(日):広島厚生年金会館
5月 5日(祝):神戸国際会館こくさいホール
5月 7日(金):倉敷市民会館
6月 3日(木):名古屋センチュリーホール
6月 4日(金):名古屋センチュリーホール
6月23日(水):グランキューブ大阪
7月24日(土):東京国際フォーラム ホールA
7月25日(日):東京国際フォーラム ホールA
の8会場である。一箇所一箇所に関するレポートは,私のBlog「麻衣をもっと~ステキな麻衣日記」掲載したものを最後に転記しておくが,ここでは,「速報」とは違う形で,今回のツアーに関する総括をしてみたい。あくまでも「私的総括」という形で,このツアーを振り返ってみたい。
1.ツアーの意義
「意義」というのも大げさだが,倉木のツアーにはそれぞれの回において込められた意味があったと思う。
まず,「happy live 2001」であるが,ここでは,「パフォーマンスを見せ・聴かせる」ことよりは,それまで神秘のベールに包まれていた美少女歌手「倉木麻衣」を世間にお披露目するという顔見世興行的な意味があった。そのため,パフォーマンスの内容はやや準備不足の感じがし,倉木自身も緊張で固まってしまい100%の力を出し切っていない印象を与える。やっと孵化して,はじめて見た太陽の輝きに目を細めている「第一齢幼虫」といったところか。
続いての「Loving You...2002」は初めてのアリーナライブであり,準備も怠りなく内容にも大幅な向上が見られる。まだまだライブ慣れしてはいないものの,ここでは倉木とスタッフの「歌を聴いてもらおう,パフォーマンスを見てもらおう」という強い意欲が感じられて好感の持てるライブパフォーマンスとなっている。黙々と緑の葉を食べ,大きく成長していく幼虫。そろそろさなぎが見えてきた。
「FAIRY TALE 2002-2003」はある意味で完成されたパフォーマンスであった。ここでの倉木は前2回のツアーとは打って変わって,しっかりとした自信を持ってステージに上がり,きちんと「観客を意識した」パフォーマンスを演ずることができるようになった。しかも,長期間のツアーを通じて次第に成長してゆき,ちょうどマイケーヘアをやめた頃からは一種の「風格」さえ感じる「アーティスト」の姿を見せるようになってきた。ここに倉木はさなぎの殻を破って大空に舞い上がった。まだ風は強く,流されることもあるが,しっかり前を向き目指す方向へ向かって飛び始めた。
そして,
「Mai Kuraki 2004 Live Tour "Wish You The Best"~Grow, Step by Step~」
が開始された。
このツアーはそのタイトルが示すように,これまでの倉木のキャリアの集大成とも言うことができるであろう。レコーディング・アーティストとして,ライブ・パフォーマーとして,今まで培ってきた力のすべてをこのツアーにかけた意気込みは,彼女自身が「プロデューサー」としてツアーを構築していることからも十分に伺われる。また,倉木自信がライブのステージ上から「Grow, Step by Step」の意味について,くどいまでに,
「ライブに来てくださった皆さんと,一歩一歩一緒に成長していきたい」
と語っているように,今までの自分を見つめなおしながら,次のステージへ少しずつ進んで行きたいという強い意志が感じられる。それを象徴的に示すのが,新曲「明日へ架ける橋」の歌詞であるが,そこには「君=支えてくれるファン」の力を借りながら,大きく成長を遂げて行こうという前向きな態度がひしひしと感じられる。
曲目も(神戸,倉敷公演からサンプリング)
1 | delicious way | 7曲 |
---|---|---|
2 | PERFECT CRIME | 6曲 |
3 | FAIRY TALE | 3曲 |
4 | If I Believe | 5曲 |
5 | 新 曲 | 1曲 |
前回のツアーが「FAIRY TALE ツアー」と名打って,3rdアルバム中心の選曲であったために今回は曲数が少なかった以外は,ほぼ全時期の曲から満遍なく取り上げられ,まさに「ベスト」的な要素を色濃く持った内容となっている。
ツアーはまだまだ続いているが,今後の発展がさらに楽しみである。
2.音楽性
音楽性といってもいくつかのテーマがあるが,音楽監督的な立場に立っているのが前回リードギターを担当し,今回は編曲とPA調整卓を担当していた大賀好修氏のようだ。また,演奏に関してはジェフリー=クェスト氏を中心とするexperienceが倉木と息の合ったところを見せる。こういったベテランのサポートを得て,今回倉木は水を得た魚のように縦横無尽にステージを泳ぎまわる。
問題はあくまで「歌唱」であろう。
倉木のライブの歌唱については今までいいことばかりが言われてきたわけではない。大体この人は大変なあがり性のようで,緊張すると声が震えたり歌詞を忘れる(間違える)癖がある。もちろんプロとしては改善すべきであるのだが,今回のライブではどうだっただろうか?
私が参加した8回のライブのうちでも,歌がおかしくなったことは数回あった。「風のららら」の歌いだしでのどが詰まったようになり声が一瞬出なかったり,「Stay by my side」の後半の早いパッセージで,舌がもつれたか,ちょっと呂律が回らないようになったりしたことがあった。プロなのだからあってはならないことだと言ってしまえばそれまでのことで,当然改善しなければならないことだが,2時間近いステージの中で,このくらいのミスは,まぁ大目に見なければならないだろう。
歌詞については激しく間違えまくった。当然いいことではない。しかし,倉木くらいになると「歌詞を間違える」ことが一種のパフォーマンス化しているので,ファンはまったく気になっていないどころか,「上手になったけど,やっぱり歌詞を間違えてくれたので,昔とおりの麻衣ちゃんだと安心した」と肯定的に受け取る意見もある。また,それほどのファンでない人は歌詞を間違えても気がつかないので,改善を求めながらもとりあえずは合格点を与えよう。ただ,本人もこの歌詞間違いはかなり気にしているようだが,気にしすぎると緊張してまた間違えるという悪循環に陥るので,おおらかに構えて歌って欲しいものである。
倉木の歌唱に関する批判の中で今まで一番多かったものは「声量不足」であった。私は倉木の歌唱法の特質から見て,それを指摘することは角を矯めて牛を殺すことになると警鐘を鳴らしてきたが,今回のライブの歌唱を聞いて驚いた。倉木は豊かな声量でもって名曲の数々を見事に歌い上げているのである。もちろんそのために彼女本来の「繊細さ」が失われてしまっては元も子もないのだが,今回は決してそんなこともなく,強弱メリハリをつけて立派な表現力を持ってステージに君臨した。特に圧巻は,前半をアカペラで歌った「Stay by my side」だろう。この速いパッセージを持つ難曲を彼女は楽器の支援を受けることなく堂々と歌いきった。大変な成長を感じた。また,「Stand Up」や「Feel fine!」などの激しいリズムのアップテンポのナンバーも,アクションを交えながら最後まで破綻なく見事に歌い上げた。「声量」という点では,もはや誰の非難も受けることはなくなるだろう。唯一残念であったのは,いまだ歌いこみが足らないからであろうが,ツアーの初期段階においては「明日へ架ける橋」が歌詞を間違えるとともに,音程が多少不安定になったことである。今後ライブの後半になれば歌いこんで,ファイナル近辺では素晴らしい歌唱を聞かせてくれたが,この曲を楽しみにライブへ来ている観客も多いため,更なる精進を望みたい。
また,今回歌唱法の特徴として気づいたことがひとつある。それは,倉木が非常にのびのびと素直に声を出して歌っているということだ。というのも,半年前に行われた「平安神宮ライブ」では,いくつかの曲で,今回とはまったく違う歌い方をしているからだ。一番目立つのは「Love, Day After Tomorrow」。この曲は平安神宮では(あるいはそれ以前のライブでも),妙にこぶしを回したり,スタッカート気味に歌ったり,のどを絞って声の調子を変えたりして,要するに我々が慣れ親しんだ「公式音源」とは異なった歌い方をしていた。観客へのサービスとしてライブならではのプラスアルファを出そうとしたことで,私はそれが悪いとは思わないが,今回のライブにおいてはそういう歌い方が影を潜めた。すなわち,CDで聞くとおりに忠実に歌おうと心がけていたようであった。これはやはり,今回のツアーが自分の今までのキャリアの集大成であり,特にデビュー当時の曲は「原点に帰って」素直にうたおうとした結果であったのではないか。そのせいか,今回のライブを通じて「清潔感」を強く感じることになった。
3.ショウアップ法
特に何か演出があるわけでもなく「ただ歌っていた」happy live 2001などに比べると,今回のステージパフォーマンスは大成長のあとが見られる。順を追って振り返ってみると,
- オープニング:先に歌声だけを聞かせておいて,観客の期待感を煽ったところで,倉木がせり上がって出てくる。
- 一曲目が終わったところで早くも上着を着替える。
- 「Secret of my herat」では歌詞をスクリーン時投影した。このあとも,いくつかの曲で同じことが行われるが,共通して「カラオケで歌われる」倉木の人気曲であるようだ。そのあたりを意識しているのではないか。
- 「mi corazon」では,階段に歌って座るというパフォーマンスを見せ。シングル曲でないために,なじみが薄い観客もいることを見越して,大きなジェスチャーで手拍子を煽った。
- 広島では「Tonight, I feel close to you」の前に,「静かな曲なので座って聞いてください」と観客に配慮を見せた。
- 定番ではあるが,「The ROSE」ではトーチを焚き,スツールに座って歌った。
- 「Perfect Crime」直前上着を脱ぎ,今回話題になっている黒い長袖のTシャツ姿になる。これは「Perfect Crime」の曲調によくマッチした。また,今回のツアー初の試みとして二人のダンサーが登場し,広島以外ではDJも登場した。
- これも定番ではあるが,「NEVER GONNA GIVE YOU UP」においてCDでは「Baby I Like...」と歌うところを今回は「Grow, Step by Step...」と,今回のツアーのテーマを歌った。
- メンバー紹介を倉木自身が行わず,ジェフリーに任せ着替えの時間を確保した。
- ここで,完全な衣装換えを行いステージのムードを一新した。(タンクトップ姿)それまでの大人っぽい姿から,若々しいフレッシュなムードへ変化した。
- 「Come on!, Come on!」「Brand New Day」では,ダンサーを引き連れて,簡単なダンスを披露した。
- 最後に「Stand Up」「Feel fine!」という倉木の二大ロックナンバーを配置し,盛り上がりを図った。
- アンコールの第一曲に(松山から),ファンが待ち望んでいた新曲「明日へ架ける橋」を配置した。また,このときの照明は透明感あふれるブルーを基調としたものであり,幻想的なムードをかもし出すとともに曲調とよくマッチした。
- 「Stay by my side」は何度も歌われているために他のライブとの差別感を出すために紅白歌合戦バージョンで歌われたが,これも広島からであったようだが,一番の最初の部分をアカペラで歌い,しっかりとした歌唱力をアピールした。
- 最後の曲に大定番曲「always」を配置し,予定調和的なファンの欲求を満たした。
- メンバーがすべて退場し「終わった」と思わせた後,倉木のみもう一度あいさつのためにステージに現れる意外性あるパフォーマンスを行った。
4.ステージ衣装
今回衣装は完全な衣装換えを2回,マイナーチェンジを5回行っている。
- 黒いシャツ(胸元にスパンコールの飾り)と黒いゆったりしたパンツ(銀ラメが織り込まれている)に白いテーラーカラーのジャケット。シックで大人っぽい感じ。:「Time after time」のみ。
- 白いジャケットを今回のツアーパンフの表紙でも着ている白っぽいジャンパーに着替える。スポーティな感じ。:「Love, Day After Tomorrow」~「The ROSE~melody in the sky」。
- 上着を脱ぐ。黒い長袖のTシャツ。右肩と右腋が露出しており,体の線がはっきり出ることもあって,悩殺的なまでにセクシーなムードを作り出し,「Perfect Crime」以降の曲調にマッチ(私が知る限りでは,名古屋公演では右手の「袖」をはずし,大阪公園からは「片肌脱ぎ」の衣装となり,さらにセクシーさを増した。):「Perfect Crime」~「Stepping ∞ out」。
- タンクトップの重ね着。広島・神戸まではカーキ色のカーゴパンツに赤いタンクトップの上に破れてところどころ穴が開いた白いタンクトップの重ね着。肩からのぞく透明なビニール製のブラのストラップがなまめかしい。小悪魔的なムード。倉敷ではMai-K.netで倉木自身が写真付きで紹介している,黄色の首まで詰まったタンクトップ(胸にARMY,AIR FORCEの文字)の上に白のメッシュのタンクトップの重ね着。前回までの「小悪魔的」なムードから今回はユニセックス風にスポーティになった。その後も,数回ごとにタンクトップは取り替えていた。:「I don't wanna lose you」~「Feel fine!」
- カーゴパンツっぽい脇にポケットがついた少しはげた色合いのブルージーンズに,青いツアーグッズのTシャツに,上部をM字型に分けず一つにまとめた変形マイケーヘア。髪を止めるゴムの色はシャツに合わせて青(広島・倉敷),神戸ではツアーグッズの赤いTシャツに髪留めは赤っぽいゴム。帰りに売店で買って帰ることができるグッズを身につけることによって,「庶民的」な「となりのお姉さん」的なムードがかもし出された。その後も主に赤と青を交互に着用したが,仙台公演2日目には「単独ライブ100回記念」ということで,黒色のツアーTシャツを着用したということだ。:アンコール以降
今までにないほど多くの衣装換えを行い,そのつどイメージチェンジを図っているが,決して小林幸子的な大仰さに陥ることなく,あくまで「そのまま街を歩ける服装」という倉木の特徴である「庶民性」を残している。非常に爽やかなステージ衣装であった。
5.MC
MCは相変わらず量が少ない。言う内容もそう深くはない。しかし,きちんと押さえられているのは以下の点である。
- 公演地域の話題に触れる。できるだけ公演前に簡単な地域観光を行い,MCの話題づくりとする。これは,地域のファンには大変好評。しかし,大都市圏のライブでは観光はなかったようだ。
- 「Grow, Step by Step」というツアータイトルの意義の説明。
- 新曲の歌詞説明。
口下手な人なので余り多くを望むのは酷かもしれないが,ファンは倉木の肉声を聞きたがっているので,これからはどんどん話すことを増やしていって欲しい。
6.ツアーグッズ
今回のツアーグッズは,Tシャツ,タオル,キーフォルダー,携帯ストラップ,ブレスレッド,ペンダント,ポスター等定番のもの一通りが用意されているが,中でももっとも人気が高いのが倉木自身も編集に参加したといわれるツアーパンフレットである。3,500円で販売されているが,Yahooオークションでは6,000円以上で落札されている例があるほど人気が高い。また,ツアー後半からはゴールドのタオル,タンブラー,メールブロック,ヘッドフォンも追加された。
7.その他
今回のツアーで特筆すべきことは,ツアーのプロモーション方法である。通常のプロモーションに加えて,今回はポータルサイトlivedoorと提携し,倉木自身がlivedoorでBlog(Web日記)をつけ,自分自身の言葉でツアーの報告をするという試みを行っている。これにつられて,新たにBlogを開設したファンも多く,livedoor一の人気Blogにもなっており,効果的な試みであったと思う。
以上のようにいくつかのテーマに分け,今回のツアーを振り返ってみたが,私自身初の倉木のライブということもあり感動が大きく,余り否定的に感じることがなかったということを割り引いても,素晴らしいライブパフォーマンスであったといって間違いないだろう。また,10月2日には立命館大学草津キャンパスにおいてメモリアルコンサートがあるという。楽しみでならない。
ただ,それでもあえて苦言を呈するとすれば,
- 公演時間が短い。広島では開演が遅れたこともあって,100分程度。他の会場も110分程度であった。自分の経験がある洋楽アーティストの公演時間が150分以上であったことを考えると,「あっという間に終わった」という感を否めない。ぜひもう30分の+アルファを望みたい。
- 観客を飲み込んで盛り上がることができる曲「Stand Up」での,客席との掛け合い(平安神宮における「na na na na...say!」など)は,ライブ高潮の最高の瞬間でもあるので,できれば復活して欲しい。
- (欲を言えば,まあ倉木らしいといえば倉木らしいのだが)歌詞はきちんと覚えて欲しい。
といったところであろうか。
とにもかくにも,成長著しいライブであったことは間違いない。
快晴の広島。長く伸びた行列の入場に手間取り,開演は18:17頃となる。広島厚生年金会館ホールはは意外に小さく15列目の私にもステージがすぐ目の前のように見える。正面のスクリーンにツアーロゴが映し出されると,Experienceのメンバーがステージに登場する。智緒さんが今回は着飾っている。
やがて静かに「Time after time~花舞う街で 劇場版」のイントロが流れ,麻衣さんの歌が聞こえてくるがまだ姿は見えず,観客は固唾を呑んでステージを見守っている。やがて,ステージ中央の一段と高いところへ麻衣さんの姿がせり上がってくると,観客からは静かな拍手が巻き起こる・・・。しかし,まだ誰も立ち上がらない。麻衣さんは白いジャケットに黒いパンツ姿。とてもシックないでたちで「大人っぽさ」を演出している。切々とこの名曲を歌い上げる麻衣さんの声に聞き惚れるかのように,観客はまだ微動だにせずステージを見つめている。
しかし,「Love, Day After Tomorrow」のイントロが流れ始めると,恐る恐るではあるが観客は総立ちとなる。ここでジャケットを脱ぎ,ツアーパンフの表紙にも写っている白っぽいジャンパーに着替える。そして,次第に観客とステージがひとつになり,最初の「LOVE」の一声でL字の指を突き上げるとき,麻衣さんと観客の気持ちはひとつになった。歌に従い観客のノリもよくなってきて,大半の観客がLOVEの指文字も完璧。この日の麻衣さんの歌い方は平安神宮で見せたような妙にこぶしのきいたものではなく,CDに近いようなさらっとした歌い方。PVの美少女の姿がオーバーラップする。
曲は続いて「Secret of my heart」。歌詞がスクリーンに映し出されている。大ヒット曲の連発で,観客の興奮も昂まってゆく。ここでも,麻衣さんは素直にCDとおりに歌う。マイクスタンドを使うのは定番。曲が終わると本日最初のMC。
「広島の皆さんこんばんわ。倉木麻衣です。今日最後の最後まで皆さんと一緒に楽しんで行きたいと思いまーす。よろしくおねがいしまーす。」
「風のららら」のイントロが始まるが,のどが詰まったように一瞬最初のフレーズが出てこない。しかし,すぐに立ち直り伸びのある歌声でさわやかに歌い上げる。観客の手拍子のノリも良い。平安神宮のときはサテンドールとの掛け合いがちょっとぎこちなかったが今回は完璧。さわやかな風が感じられる歌声だ。
聞き慣れないイントロに観客が一瞬手拍子を躊躇すると「mi corazon」だった。麻衣さんは,ステージ中央にしつらえられた階段に座り,しきりに手拍子を煽りながら切々と歌い上げる。表情がドキッとするほど大人っぽい。途中にベースソロを挟みながら観客の視線を一点に集中させていく。
「えー,今日ここ来る前に,広島の街に触れてみたいなぁと思って,えー,広島の港に行ってきました。前に広島の街を見ているとすごくこう自然があふれていて,やっぱり緑があるとすごく落ち着きます。で,そんな港を見てすごく緊張していた気持ちもリフレッシュできて,広島の街ってすごく心を落ち着かせる場所なんだなぁって思いました。・・・また絶対来たいなぁっていうふうに思っています。・・・それでは次の曲なんですけれども,ちょっと静かな曲になるので皆さん方座って聞いてください。」
観客席から「はーい!」という若い女性の声がして,場内に笑い。
そして曲は「Tonight, I feel close to you」。一番はすべてのパートを麻衣さんが歌う。しっとりとした「濡れた」歌声で,CDよりも「色気」がある。二番はヤンツィのパートをギターアンプに腰掛けたジェフリーが歌う。この人はキーが高いので,麻衣さんとのデュエットも違和感がない。それにしてもすばらしい曲。本日のハイライトかもしれない。最後の方で一回甲高いハウリングが起こったのが唯一残念であった。
スツールが運び込まれ,腰掛けた麻衣さんがトーチの炎に囲まれて歌いだしたのは「The ROSE~melody in the sky」。これもCDほど力を込めずさらりと歌い上げる。うまい。麻衣さんの歌唱力を云々言う御仁がいるが,この曲を聞けば尻尾を巻いて退散することだろう。
曲は一転して激しくなり,上着を脱いだ麻衣さんは長袖のTシャツ。右の肩の部分が切り取られていて肩と腋が丸見え,ぞくっとするほどセクシー。曲は「PERFECT CRIME」。この頃から今回の新たな試みである二人のダンサーの踊りが活発になる。あまり人気の高い曲ではないのだが,ここでの麻衣さんの歌はCDより大人っぽく,一つ一つのフレーズが観客の五感を刺激する。音程も(あたりまえのことだが)完璧に安定していて,この曲もCDで聞く数倍いい。
続いては「NEVER GONNA GIVE YOU UP」。最初のラップはジェフリーとの掛け合いだが,あえて聴こえないようにモゴモゴと演奏の中に沈みこませる。ほかの曲もそうだが,16~17歳の頃に歌った曲を今ライブで歌うと,当時は感じなかった「色気」と言うものがにじみ出てきて,曲の色合いがずいぶん変わる。もう一回ラップが出てきて今度ははっきり歌われるが,CDでは「Baby I Like...」と歌うところを今回は「Grow, Step by Step...」と歌う。
CDとアレンジが少し違い最初は気がつかなかったが,「Stepping ∞ out」。古い曲で観客のノリは今ひとつだったが,麻衣さんは実に気持ちよく歌っている。
歌い終わると麻衣さんはステージ袖に消え,ジェフリーのボーカルでexperienceのメンバーによる「Black And White」。マイケル=ジャクソンの曲。曲にあわせてジェフリーがメンバーの紹介をする。最後はキーボードのマイケル=リーがジェフリーを紹介。
曲が終わると,麻衣さんが着替えて登場。カーキ色?のカーゴパンツ?に赤いタンクトップの上に破れてところどころ穴が開いた白いタンクトップの重ね着。肩からのぞく透明なビニール製のブラのストラップがなまめかしい。曲は「I don't wanna lose you」ダンサーのKuremiとTENが定位置の高い台から降りて来て麻衣さんと絡む。麻衣さんも一緒にステップを踏むが,その腕前は微妙。
曲は続いて「key to my heart」。この名曲を思い入れを入れすぎることなくスマートに歌う。この「ライト感覚」は今回のライブの特徴。肩の力が抜けているのが分かる。続いて間隔をあけずメドレーで「Delicious Way」。高音がきれいに響く。この曲にも色気を感じるが,16歳のMai-Kを髣髴させるフレッシュさがある。で,なぜかワンコーラスだけで終わると「Come on!, Come on!」になだれ込む。再び二人のダンサーが絡み,麻衣さんもステップを踏みながら右,中央,左と指差し踊る。その腕前はやはりちょっと微妙。曲はそのまま「Everything's All Right」。CDよりも「黒っぽく」仕上げられ,R&B色が濃い。体中で観客に訴えかけると言うよりは,自分で納得しながら歌っているような印象を受ける。
一瞬の空白があって「Brand New Day」のイントロが聴こえてくる。CDよりヘヴィに仕上がっている。ステージを右へ左へと動き回る麻衣さん。私はやや左にいたために,麻衣さんが向かって左へ来てくれたときには表情までが手に取るように分かる。美しい。魂が吸い取られるほど美しい。スクリーンに映る顔の方が大きいのだが,やはり生の表情が見たくて目を凝らして麻衣さんの顔を見つめていた。
曲は突然「Stand Up」。平安神宮やFTツアーにあったような「Na na na~」の掛け合いはなし。途中で,「Stand up...」と皆も歌ってと煽る場面があるだけ,
「1階席の皆さん一緒に歌ってください」
「2階席」
「皆一緒に!」
と呼びかけ観客はこぶしを突き上げて大ノリ。しかし,FTや平安神宮に比べると編曲が大人しいのでちょっと残念。もっと派手でもよかったかな。
ここで「Stand Up」を使ってしまうとエンディングは何になるのかと不安だったが,
「それでは最後の曲になりました。Feel fine!」
と言って始まったのは「Feel fine!」。観客はこぶしを突き上げいやおうなく絶頂へと突っ走る。
麻衣さんは「ありがとう!」と言いながらステージを右へ左へと駆け巡り最後は大きくジャンプしてThe End.
そして,麻衣さんが消える。座席に腰を下ろした観客は拍手でアンコールを要求。しかし,なぜか「Mai-K!」コールが出ない。痺れを切らした私は大声で,「Mai-K! Mai-K!」と口火を切った。(これホント)私が4~5回繰り返した頃,他の観客からも「Ma-K!」コールが始まった。ちょっといい気分。しかし,麻衣さんもexperienceもなかなか出てこない。我々は5分近くも拍手を繰り返しただろうか?長い長い「Mai-K!」コールのあと,ようやくステージ左からまず麻衣さんが,そして続いてexperienceのメンバーが登場。麻衣さんは何と髪をポニーテールに纏め上げ,(左右にM字型に分かれていないので,いわゆるマイケーヘアとはちょっと違う。Mai-Kネットで「広島ライブの直後」の動画が配信されているが,あれがそう。)カーゴパンツっぽい脇にポケットがついた少しはげた色合いのブルージーンズ?で,グッズ売り場で売ってる青いTシャツを着ている。(私も買った。(^_^;))。ステージ中央に麻衣さんが立つと,静かに観客に話しかける。
「アンコールありがとう。」
「それじゃぁ次に歌う曲なんですけど,5月19日にリリース予定の新曲です。」
「タイトルは『明日へ架ける橋』と言うものです。」
「辛いとき,そして苦しいとき,躓いているとき,そんなときにそこでストップせずに前進しようっていう気持ちをこめて作りました。聞いてください。」
そして,TVオンエア版より荘厳なムードにアレンジされたCDバージョンのイントロが流れ,しっとりと歌い始めた。感動的な曲・・・。ただ,歌いなれていないのか歌詞を間違えまくった。二番の出だしで一番の歌詞を歌ってしまった。その他にも一番の歌詞をもう一回・・・。(^_^;)他の会場でも間違えたと言うので,もう少しちゃんと覚えてね。麻衣さん。スクリーンに歌詞が映し出されなければ観客も気づかなかったろうけど・・・。しかし,そんなことは関係なく,麻衣さんのハイトーンボイスは冴え渡り,観客を虜にしてゆく。疲れたのか音程がやや不安定だったが,心にしみこむこの歌,大ヒットの予感がする。
「そう,あの広島にまた来れて,すごくうれしくて今日楽しみにしてきました。・・・流山と言うところで,広島のお好み焼きを食べたんですけれども,やっぱり本場はすごくおいしかったです。そう,今回ツアーが"Wish You The Best~Grow, Step by Step"と言うことで,あの,タイトルの意味がみんなと一緒に,会場に来てくださるみんなと一緒に一歩ずつ成長していけたらなぁと言う思いを込めてつけてみました。それが今日ここ広島で,ツアーが始まってライブが出来ることにすごく感謝しています。皆さん今日はどうもありがとうございました。」
「ちょうど今年でデビューして5年目を迎えることが出来て,すごくあっという間だったなあっていうふうに感じています。やっぱり時が経つのはすごく早いなあというふうに感じて,でもその中で,この時間は早く過ぎてしまうんですけれども,一つ一つ大切に一日を過ごして行きたいなぁっと思って次の曲は作ってみました。Stay by my sideをお聞きください。」
流山?お店の名前?広島の繁華街の名なら「流川」・・・。(^_^;)・・・麻衣さんいつものオトボケ?
そして「Stay by my side」が始まった。基本的には紅白歌合戦バージョンであるが,一番の途中までは麻衣さん一人だけでアカペラで歌われた。斬新なアレンジに客席は静まり返って,聞き耳を立てる。「倉木麻衣の代表作」だけあって,いまや「風格」さえ感じさせるようになった。ここにはもうあの教会で歌うもっさりとした少女の姿はなく脱皮した蝶が舞う。
そして,
"David! Give me a beat!"
の叫びとともに強烈なドラムビートが響き渡り,
「今日は最後の最後までどうもありがとうございました。よかったら一緒に歌ってください。」
と言って「always」が始まった。この曲だけは会場中がひとつになって,野太い男たちの歌声がホールを揺らす。最後にして最高の瞬間。
always give my love to you...
会場の心はひとつになって麻衣さんのメッセージに応える。うまくいかないこともあるけど今はがんばっていこうよ,きっといつかいいことがある。人生は捨てたもんじゃないよ・・・。そうさ,その通りさ麻衣さん。分かってるよ,言いたいことは。
ありがとう。すばらしい時間をどうもありがとう。今まで,どこか遠いところにいた麻衣さんがこのライブを通じて,ずっと自分の近くに来てくれた。これからもずっとずっと応援するからね。
そしていよいよ最後。「明日へ架ける橋」が流れる中,ステージ一番前でメンバーと手をつないだ麻衣さんが呼びかける。
「どうもありがとうございました。バンドのメンバーexperienceの皆さんでした。(マイクを使わず)皆さんありがとうございました。」
そして,いったんステージから全員が消え,観客が帰り仕度を始めた頃突然麻衣さんがステージにただ一人舞い戻り,
「みなさん,今日はどうも最後まで皆さんと一緒に楽しい時間を過ごせてすごくうれしかったです。どうもありがとうございました。・・・ありがとー。皆さんも気をつけてお帰りください。どうもありがとうございました。」
というと,今度は本当に去って行った。
完璧であった。美しさと音楽性を兼ね備えた最高のライブだった。私はここ20年ほとんどドーム球場5万人クラスのものしか行っていないが,やはり小さなホールはアーティストと観客との一体感がある。ただ,当日麻衣さん自身はどうだったのかな?曲をクローズするときのジャンプはDVDなどで見るよりは小さく,今ひとつ「元気いっぱい」と言うよりは落ち着いた「大人の女性のライブ」というムードだった。疲れていたのかもしれないが・・・。
ただ,何とかしてもらいたいのは公演時間。正味アンコールまで入れても100分は短い。他に邦楽アーティストのライブに行ったことがないので知らないのだが,ポール=マッカートニーのコンサートは料金は倍であったが時間も3時間近かった。興行の世界はいろいろな制約があるのだろうが,もう30分時間がほしいなぁと思った。それ以外には文句なし!
神戸国際会館は新しくてきれいなホール。2~4階が前に張り出し,上階の観客もむしろ1階半ばよりはステージに近い。私の席は24列右側でステージからはやや遠いが,それでも充分麻衣さんを堪能できる距離だ。
広島で目立ったのは,母親に連れられて今日初めてライブに来るという様子の小学生や中学生の女の子たちだった。(大変ほほえましく,麻衣さんのファン層の広さを改めて感じた。)しかし,神戸では歴戦の勇者然としたベテランファンが目につく。広島で見たファンが神戸にも来ているのが目につく。
このベテランたちに支えられて,会場には一体感が醸し出される。LOVE指文字もできない者がいない。多くの観客が正確に振りを同期させ,タイミングよく跳びはねる。
麻衣さんもそれに煽られたのか絶好調!ファルセットの響きが違う。「THE ROSE」では明らかな違いに驚く。声が輝いているのだ。広島ではバラードを歌うからと客を座らせた麻衣さんが今日は我々に座ることを許さない。セットリストも変わった。1曲多かった。
広島ではぼろぼろに間違えまくった「明日へ架ける橋」の歌詞も,はらはらして見ていたが最後まで完璧だった。また広島ではいなかった?新メンバー?(DJ)も登場した。
いろいろと趣向を凝らしながら成長していく麻衣さん。麻衣さんが付けた"Grow, Step by Step"という言葉の意味が今初めて解った。プロデューサー「倉木麻衣」は今回のツアーにこれだけの想いを込めているのだ!なんてすごい人なんだろう。だから,ちょっと恥ずかしいが大声で言おう。
今これを読んでいるあなたは,間違いなく倉木麻衣ファンなんだろうが,今こそ改めて誇りを持とう!我々が愛した人は世界一素晴らしい!我々の見る目に間違いはなかった。そして明日からまた,自信を持って麻衣さんを愛していこう!
麻衣さん,今日はお疲れ様。次はあさって,倉敷でお会いしましょう!
(ここまで「速報」)
*ここより詳細レポート
ライブが始まった。今回はやや遠いので,プロジェクターで麻衣さんの表情を確認しながら楽しむことにした。
広島では観客は1曲目は座ったままだったが,今夜は最初からオールスタンディング!結局アンコールを求めるときを含めて,ほとんどの観客が最後まで一度も座らなかった。
広島とはノリが違った。場慣れした客が多く,のるツボを心得ている。
広島は「初心者」的なファンが目だったのに対して,神戸では「コアなファン」が多いことに気がついた。そのためライブの雰囲気は「ファンクラブ集会」のような色彩を帯び,見る人によっては違和感を覚えたかもしれなかった。
ともあれ,会場のノリのよさのせいか,はたまた麻衣さんの調子がよかったのか,歌と動き自体は広島より神戸の方がよかったように思える。
その理由のひとつは「声の輝き」,特にファルセットの響かせ方だ。たとえば「The ROSE~melody in the sky」の"Do you hear my voice?"の"voice"の部分。CDでは,声の「色調」がぱっと変わり,きらっと輝く箇所であるが,広島ではもうひとつであったのが,神戸ではさらに輝いていた。(意識的にかもしれないが,CDとは違う声であったが)
もうひとつは視線と表情。広島では視線を下に向けることが多かったが,神戸では(4階席まであるせいもあるが)上を向くことが多く,表情にも笑顔が目立った。
さらには「身のこなし」。アップテンポの曲をクローズするときに,麻衣さんが体全体を使い,あるいはジャンプして指示をする曲があるが,(「Stand Up」など)その際のジャンプや身振りは神戸の方が大きかった。また,「Black & White」でもJQのメンバー紹介も,笑い声交じりで,神戸の方が愛想がよかった。
しかし,広島のファンに声を大にして言いたいことは,もちろん広島のライブの方が悪かったというわけではない!おそらく麻衣さんは,会場に親子連れなどライブ慣れしていないファンが多いのを見て「配慮」をしてくれたのではないだろうか?だから,途中で
「ちょっと静かな曲になるので皆さん方座って聞いてください。」
とわざわざ言ってくれたのではないか?(他の会場でもあったそうなので,単に忘れただけかもしれないが・・・。)
とにかく,広島は
「麻衣さんの歌を聴きたい」というファンが目立ったのに対し,神戸では
「麻衣さんのライブを楽しみたい」
というファンが多かったような気がする。
そのオーディエンス気質の差が,ライブの微妙な質に影響したのではないかと思うが,もちろんそれは優劣とは何の関係もない。ただ,両方楽しむことができた私はラッキーであったということだけだ。
さて,内容に関してであるが,セットリストは以下のとおりである。
- Time after time ~花舞う街で~
- Love, Day After Tomorrow
- Secret of my heart
- Can't forget your love
- 風のららら
- mi corazon
- Tonight, I feel close to you
- The ROSE~melody in the sky~
- PERFECT CRIME
- NEVER GONNA GIVE YOU UP
- Stepping ∞ Out
- I don't wanna lose you
- key to my heart
- Delicious Way (1コーラスのみ)
- Come on! Come on!
- Everything's All Right
- Brand New Day
- Stand Up
- Feel fine!
《Encore》
- 明日へ架ける橋
- Stay by my side
- always
開始時間が広島は18:17頃であったのに対して,神戸が18:06頃と10分早かったことも関係あるのか,「Can't forget your love」が「Secret of my heart」に続いて歌われた。結局神戸はこの曲が復活して広島より1曲多かった。素晴らしいプレゼントであった。最初はCDとおりに,途中から激しいロック調のアレンジとなったこの人気曲は,やはり会場での拍手が一段と多かった。「Secret~」と同様にスクリーンに字幕が表示されたことが印象的であった。
もうひとつの大きな変化は,ひょっとしたら広島でもいたのを私が気がつかなかっただけなのかもしれないが,「PERFECT CRIME」のとき,すぐにダンサーが出てこなかったので,あれっと思うと,壇上左側にDJ(クラブの)が登場し,レコードのスクラッチを始めた。ダンサーは終盤になって登場したが,これは(多分)新しい試みであったと思う。
あと,「Brand New Day」の終盤歌詞を間違えたか忘れたかして一瞬立ち往生し,苦笑いをしたことと,あれだけ広島では歌詞を間違えまくった「明日へ架ける橋」をハラハラしながら見守る中,完璧に歌い上げたのが印象的であった。あと,「Stay by my side」は広島と同じくアカペラから始まったが,終盤舌がもつれてへろへろになる瞬間が一回あった。(^_^;)
MCは広島とそうは変わらなかったが,神戸特有の話としては
「しばらく前に異人館へ行ったとき・・・テディベアのお店に行き・・・。」
あの・・・私今日異人館周辺の探索にいったんですけど・・・。と過去の話しかしなかった。livedoorのダイアリーによると,どうやらこの日になって直接広島から神戸入りしたらしい。
ちなみに,アンコールの衣装はツアーグッズの「赤の」Tシャツで,広島が「青」だったので,しっかり販促活動しているようだ。よし,倉敷で赤のを買おう!(^^♪
あ,追加。ヘアスタイルは最初はほぼ真ん中わけで,確か広島はもう少し脇で分けていた(6:4くらい?)ので大人っぽい感じがしたが,神戸はちょっとおさなっぽくてかわいかった。
広島風顔 |
神戸風顔 |
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今回のライブ参戦も私にとっては本日が最後となった。倉敷市民会館。岡山県在住の私としては,「地元」でのライブということになる。
私の席は中央やや左寄りの前から3列目。しかも右側が通路になっているという絶好のポジション。目の前に視界が大きく開ける。
開演は18:32頃,予定通りだ。セットリストは神戸と同じ。「Time after time」の歌声とともに麻衣さんが中央一段高いところへせりあがってくる。この一週間で3度目のライブとなるために,身体が曲順を覚えてきた。
どうなるだろうと心配していたが,この日はこの曲から観客が総立ちとなった。すばらしい歌唱。目の前3mのところで,麻衣さんが歌っている。息遣いまで聴こえてきそうな距離だ。ただ,後ろの観客がうるさい。タイミングも計らずに「麻衣,麻衣!」と曲の途中にもかかわらず甲高い声で叫び続ける。非常に不愉快。ライブ来たことがあるのか!?しかし,麻衣さんの歌声はそんな雑音もかき消してしまう。私の視線は麻衣さんから一瞬たりとて離れることは出来ない。今日ばかりはexperienceもKuremi&TENも,ほとんど目に入らなかった。美しかった。魂が吸い取られるほどに。
「Love, Day After Tomorrow」のイントロが流れ,麻衣さんが上着を着替える。白のジャケットから例のジャンパーに。そして,"LOVE!" 麻衣さんの歌声に合わせて,天高く両手でLOVEサインを作り突き上げる。技巧を凝らすことなく素直に歌い上げる。心がえぐられる。言葉がダイレクトにハートに突き刺さる。しかし,息つくまもなく「Secret of my heart」の歌声が・・・。天使の声を聞くことができるなら,私は今夜それを聞いた。歌詞がスクリーンに映る。言葉の一つ一つが美しい。
そして次の曲のイントロが・・・。あぁ,今夜はこの曲をやってくれるのかい,麻衣さん。「Can't forget your love」を・・・。すばらしい歌声,ファルセットが輝く。ただこの曲の前半は手拍子はいらないんじゃないかな?観客の皆さん。もっと静かに聴こうよ。盛り上がる瞬間はやってくるんだから。そして後半はロック調になり我々をぐいぐいと引っ張っていく。歌詞間違えたことなんか気にしないよ。ね,麻衣さん。意地悪だね,字幕って。
「倉敷のみなさん,こんばんは。今日は最後まで一緒に楽しんでくださーい。」
続いて「風のららら」。ヒット曲が続く。この頃から私は通路側にいるのをいいことに通路に立ち少しずつ前に・・・。ほぼ2列目の客と肩を並べるようにして麻衣さんの歌声を堪能する。距離にして,近いときには2m。MCのときはマイクを通さない生の声さえ聞こえてくる距離だ。
続いて,中央階段上部に腰掛けた麻衣さんが歌いだすのが,「mi crazon」。手拍子を要求しながら切々と歌い上げる。神戸国際ホールに比べてステージの奥行きが狭いような気がして,逆に麻衣さんを手前に感じることが出来る。
「そう,去年倉敷に一度来て,また今年もここ倉敷に来れて,すごくうれしいです。ちょうど去年は美観地区に行ってきて,そこでお団子を食べたり,倉敷の町を歩いていろんな人に出会って,写真を撮ったりしてすごい倉敷って情緒がある場所だなぁと思いました。え,今日ここに来るときに道路にお花がたくさん咲いていて,なんかお花が私を迎えてくれている,そして,あの,看板とか標識に倉敷ってこう書いてあるの,あるんですけれども,なんかそういうのが目に飛び込んできて,「倉」って聞くと,あっ,なんか私を出迎えてくれているのかなぁっみたいなこと思いながらここに来たんですけれども,今日は最後まで皆さんと一緒に楽しい時間を過ごしたいと思います。よろしくお願いしまーす。」
そして「Tonight, I feel close to you」。今日は座ってくださいって言わなかったね。編曲は他の会場と同じ。2番でジェフリーが絡む。広島や神戸ではギターアンプに座っているように見えたが,今日になって,ちゃんとストールが用意されているのが分かる。ただ,この曲にも手拍子はいらなかったのではないかと思うけど?観客の皆さん。
「The ROSE~~melody in the sky~」は驚きだった。さすがに観客は静かに聞き惚れる。天から降りそそぐきらめくダイアモンドのかけら・・・。私の聞きどころは一点。"Do you hear my voice ?"の"voice"の部分。ここをどれだけ輝かせてくれるだろうか?広島では,あまり輝きを持たせずさらりと歌った。神戸では,やや歌声をたなびかせながら,きらりと一瞬のきらめきが。そして,倉敷では・・・。正直言って,私は泣きそうになった。今日の"voice ?"の声は今までのどこでもなかったほどきらめきを持ち,羽があるかのようにホールを舞った。まさか,麻衣さん・・・このBlog読んでくれていたわけじゃないでしょ?・・・そう妄想してしまうほどのパフォーマンス。麻衣さん,ありがとう。このたった一つのwordだけでも,今夜は忘れられない一夜になったよ。
そして,上着を脱いで「PERFECT CRIME」。広島や神戸では気がつかなかったが,例の片肌抜いた長袖Tシャツの胸元にはスパンコールの飾りがついている。そういえばただの黒色だと思っていたパンツにもきらきらとスパンコールが織り込まれている。ここまで近いと,麻衣さんのすべてが見えるようだ。顔の表情も,眉毛や目や鼻や肩や腰や・・・。一つ一つのパーツが一体となって倉木麻衣という総合芸術を構成していることが分かる。
今回もDJは登場した。ダンサーも激しく踊る。しかし,私の目はやはりMai-Kから一瞬も離れることはない。貪欲なまでにこの至福の瞬間瞬間を味わっている。
曲は「NEVER GONNA GIVE YOU UP」。観客も麻衣さんとともに振りを行っているようだが,もちろん私はまわりを確認する余裕などない。そして,「Stepping ∞ Out」を歌い上げると麻衣さんは舞台から消える。
いつものようにマイケル=ジャクソンの「BLACK & WHITE」に乗せてジェフリーがメンバーの紹介をする。上機嫌のジェフリー。メンバー紹介が終わる。そして聴こえてくるのは「I don't wanna lose you」。
一瞬目を疑った。前日までと衣装が変わった。尼崎からのレポートを読んでみても,今まではここからの衣装は,私が広島と神戸で目にしたものと同じだったようだ。赤いタンクトップの上に,ボロボロに千切れたような穴が開いた白いタンクトップの重ね着。しかし今回は,奇しくもMai-K.netで麻衣さん自身が写真付きで紹介している,黄色の首まで詰まったタンクトップ(胸にARMY,AIR FORCEの文字)の上に白のメッシュのタンクトップの重ね着。前回までの「小悪魔的」なムードから今回はユニセックス風にスポーティになった。
曲は「key to my heart」へと続く。きらめくボーカル。ボーイッシュでありながらところどころにコケティッシュな表情を挟み込み,ファンを完璧に魅了し続ける。1コーラスのみの「Delicious Way」に続き,「Come on! Come on!」では「評判の」ダンスを披露・・・。といってもまぁ,「振り」の範疇か。「Everything's All Right」「Brand New Day」とノリのいい曲が続く,麻衣さんはしばしばジャンプして曲のクローズを指示するが,今日はとても機嫌がよさそう。アクションが大きい。途中で,コケて見せるような演出もあった。
そして,終わりが近づいてくる。「Stand Up」。この曲は平安神宮のときのように,もう少し会場とのコミュニケーションを加味してほしかったなと思うのは贅沢な要求。麻衣さんはきちんと一緒に歌おうと呼びかけてくれるが,途中一階席へ指示を出すタイミングが遅れ,声がそろわなかったのを見ると,「もう一回」と再起を期す。一階席,二階席そしてみんなで,力の限りStand up!
最後はやっぱり「Feel fine!」。激しく,そして元気いっぱいに歌い上げ,麻衣さんは,ありがとーと袖へ消えた。
今回は比較的早くMai-Kコールが始まる。相変わらず後ろの客が無茶苦茶うるさい。何考えてるんだ!ムードぶち壊し!どっ行け!しかし,麻衣さんが出てくるまでにそれほど時間はかからなかった。
青いツアーグッズのTシャツに,いつものように変形マイケーヘア。髪を止めるゴムの色も神戸のように赤いシャツのときは赤いゴム,青いシャツには紺のゴムと,細かいところにも気を遣っている。
「アンコールありがとうございます。えっとそれじゃあ5月19日にリリース予定の新曲,明日へ架ける橋を聞いてください。」
「明日へ架ける橋」・・・歌詞を間違えまいと神経を集中しているのがよく分かる。でも・・・,あ,やっぱり間違えちゃったね。(^_^;)・・・一瞬,「あ,しまった。ごめんなさい!」という表情を見せるも,最後まで気丈に歌い上げた。天にまで届く歌声。きっとヒットする。いや,させなければ。そう心に誓う名曲。
「ちょうど去年のライブから,今年"Wish You The Best~Grow, Step by Step"このタイトルは,会場に来てくれてる皆さんと一緒にライブを通して一歩ずつ成長していけたらなという気持ちを込めてタイトルつけてみて,今年でちょうど5年目を迎えることが出来ました。5年間というのは・・っとあっという間だなぁという気がして,時間が経つのっていうのはすごく速いんですけれども,ただ流されるだけじゃなくて,一歩一歩前進して,ステキな思い出を作ったりしながら,成長できたらなっていうふうに思います。そんな気持ちを込めて「Stay by my side」をお聞きください。」
そして,「Stay by my side」。静かにアカペラで,そしてしっとりと歌い上げる天上の響き。今2,000人の愛を一点に集め,その中心で青いツアーTシャツ姿の歌姫が歌う。今日私は,彼女と同じTシャツを着てきたことを心より誇りに思った。
最後は当然「always」。倉敷市民会館に集った2,000人の心がひとつになる。2,000の愛の重さをしっかりと感じながら歌い続ける
"always give my love to you..."
・・・終わらないで。まだ終わらないで・・・。しかし時は過ぎ,最後のときがやってきた。ありがとう・・・ありがとう・・・。そしてその人は去っていった。
しかし,倉敷市民会館に集ったほとんどの観客は次に起こることを知らない。皆が帰り支度を始めステージから意識が離れた瞬間,私はそちらを回って帰るような振りをしながらするするっと,最前列へ歩み出た・・・。そして,そう,彼女は帰ってきたのだ。最大接近距離約1.5m。その至近距離で,私はこの宇宙一美しい美のエッセンスが発するオーラに打ちのめされた。もうこのまま死んでもいい・・・。中学生でもあるまいに・・・と思いながら,私の心は完全な少年だった。
「今日はどうも皆さん最後までありがとうございました。○×△・・・それでは気をつけてお帰りください・・・・。」
40何年も生きていれば,何回か人生を画する瞬間がある。・・・おそらく,今がそのとき。 セットリストの確認及び麻衣さんの発言内容に関しては大阪のSさんに大変お世話になりました。この場を借りて御礼申し上げます。m(__)m
両日とも快晴。名古屋センチュリーホールは新しく美しい会場で,音響もすばらしい。ここでは麻衣さんものびのびと歌うことが出来そうだ。
両日のセットリストは神戸,倉敷と違いは無かったが,一部曲順が入れ替わっている。
ライブ自体の全体の流れはこちらを参照されたい。曲順の違いもご参照のこと。
《Encore》
しかし変化が無いかといえばまったくそんなことは無い。ツアータイトルの「Grow, Step by Step」のとおり,麻衣さんはこの1ヶ月で大きな成長を遂げていた。 舞台上での動きは日を追ってスムーズになり,歌声も厚みを増してくるようだ。
「Love, Day After Tomorrow」一曲を取ってみても,そこにはかつてよく批判を受けたような「アマチュアリズム」のかけらも見えず,自信を持ってのびのびとこの愛着ある名曲を歌い上げる「シンガー」の姿がある。
各曲も一ヶ月前とは少しずつ歌唱が変わっていて,何度も参加するファンを飽きさせることが無い。「Secret of my heart」では,コーダの部分の歌い方が変わり,「mi corazon」では以前無かったようなフェイクが付け加えられ,「THE ROSE」では冒頭にハミングが付いた。
また,それをサポートするかのようにジェフリーの煽り方も激しくなっている。
コスチュームにも変化があった。「PERFECT CRIME」でジャンパーを脱ぐとセクシーな黒い長袖Tシャツが登場するが,以前はあった右手の袖(腕抜きのような形になったもの)が取り除かれて,右腕は肩から露出された。
「I don't wanna lose you」以降の「重ね着タンクトップ」も今回は広島,神戸のものとも倉敷のものとも違っていた。首まである赤いTシャツ型のタンクトップの上に白い胸の開いたタンクトップ。肩紐は鎖。着丈が短いようで,動くたびにおへそが見えてくる。麻衣さんも気になると見えて,時々手で引き下げている。
アンコールでの服装はやはりツアーTシャツ。ツアーグッズ販促活動に貢献する麻衣さんは,今回はツアーペンダントを首から掛けている。色は3日は赤,4日は青,私の予想とは逆になってしまったために,私は両日とも麻衣さんとは色違いのシャツでの参加となった。(^_^;)
ただ,ひとつ気がついたことは,両日のファンの反応の違い。
3日はなんとなく全体に騒がしく「Can't forget your love」でも,盛大な手拍子が付くなど,聞いていて少し違和感が残った。
それに対し4日の観客は「分かっている」ファンが多かったようだ。皆無とはいえなかったが,余計なところでの手拍子も無く,要所要所での声援も的を得ていた。なぜかアンコールの時には「Mai-Kコール」がほとんど聞けなかったが,感動したのはアンコールで麻衣さんが再登場したとき,突然観客から地鳴りのような低い歓声が起こり,麻衣さんは一時立ち往生・・・。そして,感極まったように声を振り絞って
「皆さんの気持ち暖かーい!」
と絶叫。もう少しで泣いてしまいそうな感じ。そして「明日へ架ける橋」が始まったが,このときほどすばらしい観客は5回目にして初めて見た。手拍子を取るものなど一人もいない。「聞き惚れている」というのが一番適切な表現だろうか,誰もが音符の一つ一つをも聞き逃すまいと,しかし穏やかに麻衣さんの歌に身をゆだねている。そして,「じっくりと聞いてください」と始めた「Stay by my side」でも観客の心がダイレクトに麻衣さんの心拍にシンクロしている。そして「always」で大団円を迎えるが,これほどライブが終わるのを名残惜しそうにする麻衣さんを見たのは初めてであった。
しかし,感動はまだ最後にとって置かれていた。「always」が終わりいったん引っ込んだ麻衣さんが,突然もう一度ステージへ登場するのはいつものことであるが,今回は首からツアーグッズのスポーツタオルをぶら下げている。そして,いつもどおりのあいさつを終えた後こう話し始めたのだ,
「1階のみなさーん,(マイクをはずして地声で)ありがとうございましたー!」
「2階のみなさーん,最後まで(マイクをはずして地声で)ありがとうございましたー!」
「そして3階のみなさーん,最後まで(マイクをはずして地声で)ありがとうー!」
こんなことを言うのは今回のツアーで初めてなのだろうか?
この瞬間ステージと客席は一体化し,他の何も入り込めないような強い連帯感を持った。
両日とも素晴らしいライブであったが,いろいろな方々の意見を聞くと,特にこの4日のライブはこのツアー中最高のパフォーマンスであったという。
結論めいたことを書けば,何度も何度も麻衣さんが自分の口で語っていた「Grow, Step by Step」の意味が初めてはっきりと分かったライブだった。「Wish You The Best」というツアータイトルは制作側の意図だろうが,この"Grow, Step by Step"のサブタイトルは間違いなく彼女の意思でつけられている。
倉木麻衣は日一日とライブごとに大きく成長を続けている。しかも,ライブはまだ半分を終わったところ・・・。一体この人はこのあと,どこまで行ってしまうのだろうか?
P.S. 「完璧」?「遠い人」になってしまったのかって??? ご心配なく。3日のライブで「Delicious Way」の歌詞を激しく間違えて(間違えたというよりは「新曲」),自分でもヘロヘロになりながら目を白黒させて歌ってた麻衣さん。あれ,「いつもの麻衣ちゃん」でしたね・・・。(^_^;)
「傷ついたまま 大人になることがあるよ 大人になるのは 素足で駈けてく今」??? なんのこっちゃ
今回は「麻衣をもっと」でおなじみのようさんにチケットのご提供を受けての参加。座席は今回のツアーで始めての2階席となった。確かにステージは遠い。麻衣さんの顔は米粒状態。しかし,角度があるためステージ全体を非常によく見渡すことが出来る。Kuremi&Tenのダンスなどはこの日初めてゆっくりと見たような気がする。
セットリストは
- Time after time ~花舞う街で~
- Love, Day After Tomorrow
- Secret of my heart
- Can't forget your love
- 風のららら
- mi corazon
- Tonight, I feel close to you
- The ROSE~melody in the sky~
- PERFECT CRIME
- NEVER GONNA GIVE YOU UP
- Stepping ∞ Out
- Black & White (experience)
- I don't wanna lose you
- key to my heart
- Everything's All Right
- Brand New Day
- Delicious Way (1コーラスのみ)
- Come on! Come on!
- Stand Up
- Feel fine!
《Encore》
- 明日へ架ける橋
- Stay by my side
- always
これは,名古屋とまったく同じ。ツアーも終盤に入り,ツアーグッズにも変化が見られたので,セットリストにも変化があるかと期待したが,どうやら最後までこのまま行ってしまうようだ。
長丁場の九州シリーズが終わり,疲労がピークに達しているのではないかと危惧していたがそんなことはまったく無く,声も伸びやかで声量も豊か。音程をはずしたり声が裏帰ったりすることも無い。見事なパフォーマンスであった。
観客も麻衣さんの熱唱に応える。名古屋の2日目の観客が素晴らしかったと書いたが,この夜の大阪の観客はそれ以上であった。まず,「してはいけない」ところでの手拍子がひとつもなく,じっくりと聞き惚れる様子はステージと観客席が一体となり厳粛とも言えるムードをかもし出した。ただ,少し大人しめではあったか?
(惜しむらくは「Stay by my side」の途中で携帯を鳴らした客がいたこと。故意か過失か。どちらにせよ許されることではない。)
第一曲「Time after time」では立ち上がる観客もほとんど無く,上品に座ったまま聴いている。2曲目で1階席は総立ちになったが2階席では立つものも疎ら。そんな状態が「Stand Up」まで続いた。さすがにその後は次々に立ち上がる客が多かったが,それも2/3くらいだろうか。一階席とはムードが違うものだ。
この夜のもうひとつの見所は衣装。最後に見た名古屋とは大きく違った。「PERFECT CRIME」までは以前と変わらなかったが,そのあと上着を脱いだところで,私はまったく悩殺されてしまった。それまでの右腕ノースリーブ,左腕長袖Tシャツから変わって,左肩の部分が無い,すなわち片肌脱いだ状態の黒い身体にぴったりしたコスチューム。それまでのものも十分に刺激的で見るたびにドキドキしたものだが,今回の衣装はその3倍は露出度が高い。2階席でよかった。一階前列だったりしたときには生きて帰れなかったかもしれない。
「I don't wanna lose you」からの重ね着タンクトップも新しくなった。赤の上にほぼ同形の白いタンクトップを着ているために赤のものはほとんど見えない。パンツは使用3本とも変わっていないようだ。
あとのことはほぼ名古屋と同じだが,歌い方はいろいろと違っている,さまざまなフェイクを使い分けているので,今回6回目になる私も飽きることは無い。「The ROSE」や「明日へ架ける橋」など麻衣さんが指揮を取りながら歌う曲では途中で歌を止めて次のフレーズが出てくるまで,長く長く引っ張ったりして印象的な歌唱であった。安定度も増し,今回は記憶に残るような歌詞間違いもなかった。安心して見ていられるようになった。
最後の最後,すべてが終了したときに出てくるあいさつは今回も健在で,マイクをはずして地声で1階席,2階席と感謝の言葉を伝えてくれるのも名古屋と同じ。これが定番になったのであろう。そして肩からは新しく追加されたゴールドのスポーツタオルが・・・。しっかり販促活動してくれていました。ちなみにこの日はアンコールのツアーTシャツの色は赤。おそらく鹿児島が青だったと推理し私も今回は赤いTシャツで参加していたため山が当たって麻衣さんと同じ格好でアンコールのときを過ごすことが出来た。
これで,私にとってのライブは本当に残すところちょうど一月先の東京2daysのみとなった。
またまた,恐ろしいまでに楽しみだ。
7月24日のセミファイナルは,「麻衣ど日記」のうっちーさんとご一緒に1階27列目という比較的恵まれた席でライブを楽しむことができた。
開演前にバックステージパスを着けた中国語を話す女性スタッフを眼にしたりしたものだから,ひょっとしてゲストにイェンツィーさんが登場するのではないかと興奮したが,まったくの勘違いであった。
東京国際フォーラム ホールAは,新しくきれいな会場で,麻衣さんもその環境を楽しむかのように,ライブは淡々と進んでいった。
元気はいい。曲のクロージングでジャンプをしたり,腕を大きく上下させてエクスペリエンスの指揮を取る場面があるが,そのジャンプの高さ,躍動感ある仕草など,今まで参加した6回のどの公演よりも力が入っていたことがありありと分かる。
ただ,やはり私の頭の中には「ファイナルは何かが起こる」という伝説にも似た情報を信じ,イェンツィーさんが現れて「Tonight, I feel close to you」をデュエットするのではないかとか,松本孝弘氏が登場して「イミテーション・ゴールド」をやるのではないかとか,さまざまな妄想的希望が渦巻いていた。
しかし,いつまでたってもそのような「非日常的」なことは起こらず,ライブは淡々と進んでいった。むしろ,観光の話題を語るMCが無い分だけ,外見的には「地味」なライブとも取れる。
けれども麻衣さんがこの東京公演に秘めた胸の内はよく分かる。いよいよ最後を迎えて,自分も少しずつ成長を遂げてきたという自負があるのだろう,自信に満ちた力強いパフォーマンスが続く。
セットリストは広島後の公演のものとほとんど変わらなく,演出もほぼそのままを踏襲している。違いは「Black & White」によるエクスペリエンスのメンバー紹介が終わって麻衣さんが再登場するときの曲順が,かつては「I don't wanna lose you」→「key to my heart」であったものが逆になったことと,「Stand Up」のときに今までのようにステージのフロア上で歌うのではなく,セットに組んだ台の上(大型モニタの前~向かって右付近)で歌ったことだろうか?このことは東京公演2daysとも同じであった。
少し今までと違ったことは,公演終了後あいさつに立った麻衣さんが,自分の口から「報告がある」ということで,10月2日(土)に立命館大学 びわこ・くさつキャンパスにおいて「2万人を集めた」ライブをやるというお知らせがあったこと。これを聞いた多くのファンはその瞬間に,この「びわこ・くさつライブ」への参加を決めたということは想像に難くない。
とにもかくにも,今まで参加してきたどの公演ともセットリストには違いが無く,Loving You...ツアーのときのようにゲストも登場せず,取り立てて変わった演出も無かった。
このようなことで,私は最高のパフォーマンスを目の前にしながら何か別種の戸惑いがあった。
「あれ,ファイナルっていっても,いつもと変わらないなぁ…。」と。
そして迎えたのは本当のファイナル!5月3日の広島公演以来8回目のライブ参戦となる私にとっても,「最初の最後」が訪れた。
ファンクラブ席でさえも2階にあるという入手困難なチケットであるためやむを得なかったのだが,座席は2階16列。遠いことは遠いが,決して麻衣さんのパフォーマンスが楽しめないような席ではなかった。
今日もうっちーさんとご一緒させていただいたが,今回のライブにはさすがにファイナルにふさわしい趣向が用意されていた。添付した紙片をご覧いただければ分かるが,当日はチラシと一緒にサイリウムといわれるいわゆるペンライトが同封され写真の紙片が添付されていた。麻衣さんを驚かすサプライズとして,スタッフの粋な計らいである。要請もよく守られアンコールになるまでに光らせた観客は私以外には見られなかった。(^_^;)
実は,同伴のうっちーさんはこのサイリウムというものを初めてご覧になるということで,かつてポール=マッカートニーのコンサートで使用した経験のある私が,「こうやって使うんですよ」と先輩風を吹かせて教えてあげようと軽く折る真似をしたところ,ほんのちょっとの力しかいれていないのにもかかわらず「ポキリ」と折れてしまい,光りだしてしまった。まだ,開演のブザーが鳴る前のことだ。(-_-;)
まぁ,2時間くらいは持ってくれるだろうと,私はあわててそのサイリウムをバッグの中にしまうと,いよいよファイナルステージの開演となった。
前日同様動きは良い。歌詞の間違えはあったが声もしっかりと出ていた。MCではファイナルに対する熱い思いとファンへの感謝の言葉,"grow Step by Step"というツアータイトルの意義の集大成が語られ,いやがおうにもムードが高まる中,しかしライブ自体は昨日同様粛々と進行して行った。
コスチュームも基本的には1ヶ月ばかり前の大阪とほとんど変わらない。「PERFECT CRIME」からの上着を脱いだ"片肌脱ぎ"の衣装は,相変わらずどきりとするほど美しい。
ライブは進み,「Stand Up」と「Feel fine」の熱狂の中,麻衣さんがステージから消えた瞬間,客席では5,000もの蛍が乱舞を始めた。サイリウムから光が放たれたのだ。Mai-Kコールの中静かに輝く黄色い光…。幻想的なムードが高まる。(私のサイリウムも,まだまだちゃんと発光していました。)
そして,麻衣さんがステージに帰ってきた。
ちなみに着ていたツアーTシャツは「赤」。昨日「青」と読んで失敗した私は今日は青であろうとあきらめていたが,奇しくも最後の最後で,また麻衣さんと同じ格好で同じ空間にいることができた。きっと彼女は赤が好きなんだろう。
しかし麻衣さん,5,000の光を見ると立ち往生してしまった…。声を詰まらせ,言葉が出ない…。
幾多の「頑張れー!」の声がかかる中,やっと麻衣さんの口が開き,しどろもどろになりながらMCをこなすと「明日へ架ける橋」が始まった。涙をこらえながら歌詞の一つ一つをかみ締めるように歌う様子が伺われる。が,最後の部分
「辛くても今…」「・・・・・・」
最後の部分を伸ばし,タメを作ってから次の歌詞に入るところだが,感極まった麻衣さんは次の歌詞が歌えなかった。
あまりにその空白が長くなりすぎたからだろう,麻衣さんはつい自分から吹き出してしまい,そして涙し,また苦笑いを浮かべながら涙する…。
どのくらいの時間が経ったのだろう,もちろん数秒でしかないはずなのだが,それは永遠にも感じられる時間だった。
観客から「頑張ってー!」の声がかかる。そして麻衣さんはそれらの声についに意を決したように歌い始めた。
「君がいる…」
そして,涙をこらえながらヘロヘロになりながら曲紹介をすると「Stay by my side」。この曲の1番アカペラは,最初に見た広島から,とうとう最後まで変わらなかった。
多くのファンサイト,ファンBlogを見ると,麻衣さんは突然客席からかかった「麻衣さーん」という声に驚いて吹き出してしまったとレポートされている。しかし,私にはどうしてもそうは思えない。ここの“タメ”は聴かせどころなので,どの公演でも行っているのだが,ファイナルはその時間が「異常に」長かった。私には麻衣さんが感極まって,なかなか次のフレーズへ入れなかったと見えた。こみ上げてくるものがあった。自分でもおかしいくらいに間延びしてしまって,なんか妙な感じ…。たまたまそこへ声がかかってつい吹き出した…。私にはそう見えた。つまり,掛け声はきっかけではあったかもしれないがその声によって麻衣さんの歌唱がおかしくなったのではない。もっと麻衣さんの心の中を読み取りたいと思う。もちろん私見ですが。
そして「always」で大団円を迎える・・・。
しかしその後のことだ。エクスペリエンスのメンバーと手をつないだ麻衣さんは観客に向かっていつもより倍近く深々と頭を下げると,いつまでたってもその頭をあげようとしないのだ。
いつまでそうしていただろうか?この場にいる5,000の,そして各地のライブ会場に足を運んでくれた数万の,そして残念ながら会場に来ることができなかった数十万のオーディエンスに対し,麻衣さんとエクスペリエンスは永遠に続くほど頭を下げ続けた。
そして,エクスペリエンスがステージを去る…。
しかしどうしたことだろうか?麻衣さん一人ステージから離れようとしない。
そして中央に立つと,はっきりとした口調で思いを込めて我々にツアー終了の報告と,支えてくれたお礼の言葉を語り始めた。
ありがとう。麻衣さん。お礼を言うのは私たちの方だね。ここ4ヶ月間本当に素晴らしい思いをさせてもらったよ。ありがとう。ありがとう。
そして静かに麻衣さんがステージから消え,前方の大型モニターにはエンド・ロールが流れ始めた。
…しかし,帰ろうとする客はいない。それどころか,みんな気持ちをひとつにして「Mai-K, Mai-K, Mai-K」とマイケーコールで麻衣さんを呼び続ける。良くぞ続くなというほど永遠にこだまするマイケーコール。
そして,ついに麻衣さんはもう一度ステージに登場した。そしてもう一度ていねいにお礼の言葉を述べてくれると,今度は本当に去って行った。
さようなら,麻衣さん。お疲れさま。
今度は10月2日に会おうね!
こうして私にとっても,熱狂の「Mai Kuraki 2004 Live Tour Wish You The Best~Grow, Step by Step~」は幕を閉じた。
そして,ふと気がついた。ゲストや変わった趣向を求めていた自分の愚かさに…。
麻衣さんは,このツアーを最高のものにしようと懸命に努力してきた。そして彼女自身ツアーを通じて一歩一歩成長を遂げ,その夜頂点を迎えた。これこそが彼女の最高の姿であった。本当はもうこれ以上何も望む必要はなく,我々はありのままの麻衣さんの素晴らしさを感じることができたのだ。まさに彼女が"Wish You The Best"と望んだように…。
最高の最後,最後の最高。
ただ惜しむらくは,すでに多くのファンBlogに書かれているが,のべつまもなく入る歓声。特にしっとりとじっくりと,静かに歌い上げる曲の最中の掛け声は,雰囲気を見て,感じて,控えて欲しかった気がする。それだけ,今回のツアーが評判を呼び,初めてここで彼女のライブに参加するという人が多かったのだろうか。
ともあれ,いったんライブツアーは終了した。最高の時間与えてくれた麻衣さんに感謝。
しかし,私にとっての「最高」はそれだけではなかった。
今回の東京2daysは今までのどこの会場にもまして多くのファンの方々と交流することができた。今回の東京公演参加の大きな割合を占める理由が,実はこういった日ごろはネット上だけのお付き合いだった方々と一緒にさまざまな交流をしてみたいと言うことであったので,その意味でも非常に有意義な2日間であった。
「麻衣ど日記」とTSSのうっちーさんには2日間お宅にとめていただくとともに,車を出してくださり言葉にならないほどお世話になった。またご両親にも大変よくしていただき,本当にお礼の言葉も無い。
「麻衣さん応援記」のume.kさんは,Blog仲間のメッセージ集CD-ROMを作って麻衣さんにプレゼントしようという企画を立ててくださり,大変なご苦労の中ついに実現された行動力には頭が下がった。ファイナルの朝,ume.kさんのお宅に伺い,仕上げをご一緒させていただいたことは私にとってもいい思い出となった。
「Mai.Kサポーターサイト」のみっちーさんは大変に実直な方で,何かと気を遣ってくださり,最後には我々の写真を撮ると,すぐにカメラ店へ走り,麻衣さんへのプレゼント用写真を用意するとともに,焼き増しをすると,ご自分で費用を負担されて我々全員に大きな写真を配っていただいた。
そのほかにも,ようさん,宇都宮君,とっちさん,ゆきたかさん,カズさん,カズさんの弟さんとは,24日夜にオフ会でさまざまなお話をさせていただいた。
その他にもかこっちーさん,ESRさん,Sivaさん,エミリーさん,YNOさん,Mai-K buffさん,gogoさん,esさん,PUROさん,スカイさん,syuji3さんとはやっとはじめてお会いできたし,その他何度も各地のライブでご一緒させていただいている方々とも,またいろいろとお話しすることができて最高に楽しかった。(ごめんなさい,名前を落としている方がいらっしゃるかもしれませんが…m(__)m)こちらの目的も十二分に達成することができた。
さて,何だか人生の目的が終わってしまったような気がする今夜だが,へこたれずに10月2日を次の目標に,また頑張って生きていくことにしよう。
麻衣さん,そして皆さん。本当にありがとうございました!