No.2


 本題に入ろう。

 何度か述べたように,私が倉木麻衣の音楽を知ったのは2004年1月,ベストアルバム「Wish You The Best」を聞いたときのことであった。したがって私は「Love, Day After Tomorrow」と「Tonight, I feel close to you」を同時に聴いたことになる。そこに時間的な間隔は無い。収録された16曲は「歴史のフィルター」を通って生き残ってきた「名曲」ぞろいであり,それらの曲に対して私は過去に何ら個人的な感傷を持ってはいない。つまり,それはクラッシック音楽であったのだ。

 ビートルズに対しても同じアプローチであったが,ビートルズはその後(一部の例外を除いて)「新曲」を発表することは無かったので,やはり私にとってはクラッシックのままである。

 クラッシックは「研究」するに容易である。なぜならば「先が見える」からだ。すなわち我々は交響曲第9番「合唱付き」のメロディを口ずさみながら,第5番「運命」のレビューを書くことが可能であるということだ。鳥瞰的な視野を持って総合的に論ずることが可能であり,後の「意外な」変化も予定調和的に運命論として捉えることができる。

 しかし,ポピュラー音楽はそうは行かない。すべてが「ライブ」である故に,次にどう転ぶか分からない。天才と賞賛したアーティストが次の週にはヒットチャートから消え去るかもしれないし,その逆もあるだろう。その意味で,思い入れたっぷりの感想を述べることはできても「研究」することは難しい。


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