No.3


 そして,私も今その「難しい」立場に立っている。

 2004年5月19日,倉木の新曲「明日に架ける橋」がリリースされた。しかし,これは私にとってははじめての,そして現状では唯一の倉木の「新曲」である。さまざまな想いが交錯し,涙ながらのレポートを書くことはた易いが,鳥瞰的に普遍的価値を持って論ずることはなかなか難しい。さらに"Wish You The Bestツアー"に8度参加することにより,私にとっての倉木麻衣は,教科書を抜け出し現実のものとなった。

 私にとっての「倉木麻衣新時代」がやってきた。

 今後の「曲解説」その意味で大きな困難が伴うであろう。克服は容易なことではないかもしれない。しかし,逆もまた真なりである。今まで机上の空論に過ぎなかった「クラッシック倉木」の曲解説が,リアリティを持って再登場してくることもあろう。「全曲解説」もこの趣旨に沿って追々に書き直していこうと思う。

 「歴史家」と「ファン」。今私はその狭間で苦悩しているところでもあるが,これからもできるだけその両者の長所を取り入れながら,分かりやすく,かつ意味のある音楽評論を書いていきたい。


■前に戻る

◆目次へ戻る