No.7


 また,今回歌唱法の特徴として気づいたことがひとつある。

 それは,倉木が非常にのびのびと素直に声を出して歌っているということだ。

 というのも,半年前に行われた「平安神宮ライブ」では,いくつかの曲で,今回とはまったく違う歌い方をしているからだ。

 一番目立つのは「Love, Day After Tomorrow」。この曲は平安神宮では(あるいはそれ以前のライブでも),妙にこぶしを回したり,スタッカート気味に歌ったり,のどを絞って声の調子を変えたりして,要するに我々が慣れ親しんだ「公式音源」とは異なった歌い方をしていた。観客へのサービスとしてライブならではのプラスアルファを出そうとしたことで,私はそれが悪いとは思わないが,今回のライブにおいてはそういう歌い方が影を潜めた。すなわち,CDで聞くとおりに忠実に歌おうと心がけていたようであった。

 これはやはり,今回のツアーが自分の今までのキャリアの集大成であり,特にデビュー当時の曲は「原点に帰って」素直にうたおうとした結果であったのではないか。そのせいか,今回のライブを通じて「清潔感」を強く感じることになった。


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