ただ,以前の倉木のことをよく知らない,あるいは「紅白歌合戦」というものにそれほどの感慨を持たない中高生の皆さんは,ミュージック・ステーションをたまたま大晦日に放映しているような感覚で,素直に「生倉木」が見えたことを喜んだ。
さらに最も批判的であったグループはバツ丸氏のご指摘によれば「倉木を初めて見る一般層」であったということであるが,私はこの人たちが批判的なのはマスコミによる「倉木非難刷り込み」が原因のような気がしてならない。
「倉木中継!初出場のくせに特別扱い!NHK何考えてる?!」
というマスコミの論調はよく見られたが,それを漠然と自分の意見と同一視して発言されているだけではないだろうか?
似たような例であるが,先日ある50歳くらいの女性を私の車に乗せていたときのこと。カーオーディオで倉木の曲をかけていて,これは倉木の曲だと教えると,
「あぁ倉木麻衣?宇多田とそっくりね。この曲もそっくり!」
と声を大にして言う。とてもそんなふうには思えないので,詳しく聞いてみると,彼女は実は宇多田ヒカルの曲なんてほとんど聞いたことがないし,もちろん倉木の曲も一曲も知らなかった。ただマスコミ等でそう言われるから自分もそう思っているだけであったのだ。
この「刷り込み現象」は残念なことであるが,他のアーティストに比べ倉木に対して非常に強く感じられる出来事である。