今書いたように,おそらく倉木はそういった風景を直接は見聞きしていない。それならば写真か?絵画か?・・・いやそうではあるまい,それではあまりにも具体的風景が乏しい。私は考える。倉木はその風景をおそらく「映画」の中で見たと。
倉木の映画好きは有名である。無理な議論ではなかろう。しかし,倉木の口から洋画の名前はよく聞くが,邦画について聞くことはあまりない。それならそれは何か。
昭和30年代頃の日本の農村の原風景を描写した映画で,倉木がおそらく見ているであろうもの・・・。
ひとつだけあった。「となりのトトロ」である。
この宮崎駿監督のアニメーションを見たことがない子どもはおそらく日本にはいないだろう。そして,そこに描かれる風景はまさに「fantasy」で歌われるあぜ道の世界そのものである。そして,さらにそこにはトトロや猫バス等の「おとぎ話(fairy tale)」のキャラクターたちが縦横無尽に駆け巡るのである。つまり,「fantasy」とは倉木が「トトロ」通して見た日本の原風景であったのではないか。