No.5


 思うに2003年は倉木にとって異例尽くめの年であった。前年からの大変な長期ツアー。その合間を縫って3月,4月,5月と3ヶ月連続してシングルをリリースした後,今度は長く沈黙が続く。そして,前回の「FAIRY TALE」よりわずか8ヶ月後には準備不足の感があるニューアルバムのリリース。さらに名曲であり,倉木の代表曲のひとつとも呼んで差し支えないほどの風格を持つ「Time after time〜花舞う街で〜」は,コナン映画の主題歌だったが,映画の宣伝が始まり,一般の注目が集まるよりかなり前にリリースしてしまい,またアーティスト自身が動かず静止画のみによるPVは失笑を買い,そのせいか思ったようなセールスが出ない。・・・その後の曲もリリースの期間があまりに短かったため,佳曲を提供しながらも,シングルは10万あまりのセールスを記録したにとどまった。そこにはファンならずとも何かしら「ちぐはぐ」なものを感じ,やり方によってはもう少し違っていたのではないかと思ってしまう。したがって,この2003年という年は,倉木のアーティストとしての力量にというよりもむしろGIZAの販売戦略に問題があり,思ったようなセールスが出なかったと考えたい。その証拠に2004年初頭に発表されたベストアルバム「Wish You The Best」はたちまちミリオンセラーを記録した。ただ,このまま2004年も同じ右肩下がり状況が続けば,営業だけに責任を負わせることも難しくなる。折りしもこの文章を書いている途中の2004年3月4日,待望の倉木の新曲「明日へ架ける橋」がアナウンスされた。NHKの夜の連続ドラマの主題歌になるということであるが,あまり視聴率の期待できないチャンネルと時間帯であるが,NHKブランドの力はやはり無視できないものがあるので,この新曲でもってぜひ「Reach for the sky」の47万枚に迫るセールスを目指してもらいたいものだ。


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