曲目 | 作詞 | 作曲 | 編曲 | |
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1. | Secret of my heart | 倉木 麻衣 | 大野 愛果 | ZOD |
2. | Did I Hear You Say That You're In Love | Jeffrey Qwest | Tomoo.Kasahara | Cybersound |
3. | NEVER GONNA GIVE YOU UP | 倉木 麻衣 Michael Africk |
Michael Africk Miguel Sa Pessoa Perry Geyer |
Cybersound |
4. | Baby I Like | YOKO Black.Stone | YOKO Black.Stone | Cybersound |
5. | Stay by my side | 倉木 麻衣 | 大野 愛果 | ZOD |
6. | Can't get enough 〜gimme your love〜 | YOKO Black.Stone | YOKO Black.Stone | Cybersound |
7. | Delicious Way | 倉木 麻衣 | 大野 愛果 | ZOD |
8. | Love, Day After Tomorrow | 倉木 麻衣 | 大野 愛果 | ZOD |
9. | Stepping ∞ out | 倉木 麻衣 | YOKO Black.Stone | YOKO Black.Stone |
10. | Baby Tonight 〜You & Me〜 | 倉木 麻衣 Michael Africk |
Tomoo.Kasahara YOKO Black.Stone |
YOKO Black.Stone |
11. | Baby I Like -Extacy Vocal Mix- |
Remix : Justin Strauss | ||
12. | 's All Right -DJ ME-YA Radical Beat Mix- |
YOKO Black.Stone | YOKO Black.Stone | DJ ME-YA |
"Mai-K"名義のアメリカ発売盤。一部を除いてすべて英語詞となっている。
ただ,本当にアメリカでのヒットを狙っての全米発売か,日本市場向けの話題づくり先行なのかはやや不明。というのは,もしアメリカでのヒットを狙うのなら少なくとも,歌詞は原曲の趣旨を残した上でのネイティブによる新たな作詞があってもよかったのではと思うからだ。しかし実際には12曲中5曲が"Words by Mai Kuraki"とクレジットされている。ゴーストライターかとも思って詳細に詞を確認してみたが,どうも詞のフィーリングはいつもの倉木節。一部の例外を除いてほとんど韻も踏まれていない。「Stay by my side」などは日本語詞の直訳部分が目に付く,全体として英語としてこなれていない…など,やはり基本的には倉木自身が作詞しているとしか思えない。ただ,彼女が今まで使ったことが無い単語(scream,celebrate,seem to,hidden,reborn,dawn,cardinal etc.)が使われているし,「Love, Day After Tomorrow」では,私がシングル曲解説で触れたように,英語としては不自然であった
"You are the first thing on my mind."
という表現が
"You're the one on my mind."
と英語らしい表現に改められているので,当然のことながらネイティブも含めて英語のアドバイザーが存在し,かなりの部分で手が加えられていることは想像に難くない。そう思ってクレジットを確認するとErica Haupt(8),Deron Reynolds(1,5,6,7,9,10)の二人の人物が"English translation support"として挙がっていた。"wind whisper"といったような「Tonight, I feel close to you」に似た表現があるので,ディレクターの西室斗紀子氏のサジェスチョンもあったのかもしれない。
ともあれ,シングルとしては廃盤となった「Baby I Like」が収録されているなど,ファンにとっては必携のアルバムである。
「Secret of my heart」 は原曲の趣をかなり変えている。もう少し忠実であってもよかったのではないかとも思うが,これが「アメリカ人好み」の音なのだろうか。歌詞はかなり「英語らしい英語」になっており,かなりのサジェスチョンがあった模様。
「Did I Hear You Say That You're In Love」 は非常によくできたラブ・バラード。作詞はバックバンドのリーダーとして倉木を支えるexperienceのギタリスト,ジェフリー=クェスト。
「NEVER GONNA GIVE YOU UP」 はどうやら日本発売盤と同じもののようだ。なお,この曲は日本語詞を含むために,日本語のCDの発売が許可されていなかった当時の韓国盤には収録されていない。
「Baby I Like」 は倉木の記念すべきアメリカデビューシングルの再録。シングルは廃盤のため公式にはここでしか聞けない。ただし,このアルバムもかなり入手難となってきたので,今後は厳しくなるか。曲はあまりにも大人びた曲を16歳の少女が歌うというところにミスマッチの面白さがある。訳詞を読んでそのエロチックさに驚いたという感想のメッセージをよくいただく。
「Stay by my side」 では,歌詞がかなり日本語詞の直訳ふうなので,倉木自身の手が一番かかっている詞かも知れない。
「Can't get enough 〜gimme your love〜」 は日本語では,あまり品のよい曲ではなかったが,こちらの方がぐっと来る。当然,新詞ではなくこちらがYoko Black.Stoneのオリジナルであったのだろう。
「Delicious Way」 は表現がかなりこなれた英語,"ain't"などは倉木ひとりでは使えなかったのではないか。アドバイザーの力が大きい。アレンジが日本語盤より薄っぺらくなったような印象。聴き方によってはちょっとコミカル。
「Love, Day After Tomorrow」 ,この詞もかなり直訳調。ただ,表現は改められているところが多い。気がつくのが日本語詞では"Stay with me!"と歌われるところが,単に"Saty!"とだけ歌われているところ。この方が英語としてはこなれているということで直されたか?
「Stepping ∞ out」 はこなれた英語とたどたどしい英語が混在。倉木が辞書を引きながら,分からないところをアドバイザーに熱心に尋ねているシーンが思い浮かぶ。(一緒にはいなかったかもしれないが)「やさしさも せつなさも さびしさも」を敢えて日本語で歌うところがミソ。ジャケットに写っている塔といい,何か浅草で売っている外国人向けのお土産品のようなまがまがしさを感じてしまう。
「Baby Tonight 〜You & Me〜」 は英語は結構それらしいのだが,"I'll give you my life"や"you're in my life"のような"life"を「人生」という重い意味に使いたがる大仰さはいつもの倉木。
韓国盤のジャケット裏写真。1曲少ないことが分かる。 |
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発売の意図が今ひとつ分かりにくいアルバムではあるが,日本のファンや実はアジアのファンにとっては大変ありがたいアルバムとなったのではないだろうか。実際に2004年になるまで韓国では日本語曲のCDは発売禁止であったが,このアルバムは販売できたのだから。(韓国盤では「NEVER GONNA GIVE YOU UP」に日本語が含まれるために,この曲が削除されて,収録曲は全11曲となっている。)
ほぼ全曲英語詞であるために中学生の皆さんなどはお困りかもしれない。理解の一助になればと思い,各曲の大意を記しておく。上記の表の「作詞者」のリンクをたどっていただきたい。
追記 (2004.03.21)
これはひょっとしたらMai-K界のスクープともいえる大ニュースになるのかもしれないが,新しい情報が入った。アメリカ留学を終えて最近帰国されたある方からの情報によれば,この方はMai-KのこのCDが実際にアメリカの普通のCDショップ(複数)で販売されていることを確認されたというのだ。しかも,街頭でランダムにMai-Kを知っているかとたずねたところ,予想をはるかに上回る認知度であり,また,このCDや「Baby I Like」を持っているという人もかなりの数に上るということが分かった。
これまで,「Baby I Like」や「Secret of my heart」は実際にはアメリカのCDショップでは売られていないのではないかという噂があり,私も確信が持てずにいたが,どうやらそれは大きな誤解であったようだ。続報に期待されたい。