1. P.SMY SUNSHINE 作詞:倉木麻衣 作曲・編曲:岡本仁志
  2. tell me your way  作詞:倉木麻衣 作曲・編曲:後藤康二
  3. P.S MY SUNSHINE〜DAY TRACK version〜 作詞:倉木麻衣 作曲:岡本仁志 編曲:YUKI NAKANO

  • 価格: \1,000[税込]
  • 発売日:2005/06/01
  • 商品番号:GZCA-7061
  • フジテレビ系「めざましどようび」テーマソング
オリコンデータ
最高順位 8位
登場回数 5回
初動枚数29,372枚
累積枚数36,255枚
2週目


Personel:


 2004年にはライブパフォーマンス以外に目立った活動がなかった倉木であったが,2005年になり新曲ラッシュが続き,ファンにはうれしいところだ。夏にはニューアルバムの発表も予定されているというので,秋に行われるライブツアーの構成等を考えるのも楽しみだ。

 ただ,2003年春の新曲ラッシュがそうであったように,3曲目には大野・徳永曲ではなく,倉木にとっての「新人」作曲家の曲が登場した。その「風のららら」は名曲であったが,セールス的には必ずしも成功したとはいえなかった。

 今回の「P.S MY SUNSHINE」もまた同じような立場にある曲だ。朝のニュースバラエティ番組のテーマソングでもあり,「春」のイメージを強調した佳曲ではある。前2曲よりは“創り込んだ”という感じが強いが,サビの部分などに多少“人工的”なものを感じさせ,倉木の魅力を最大限引き出した曲であるかどうかについては多少の疑問が残る。 個人的に言えば,サビはもっと明るく,完全な長調の響きにしてもらいたかった。ただ,その願いは“大サビ=白いノートに〜”の部分で不満足ではあるがある程度かなえられている。

 しかし,久々の“え段の裏声歌唱=ファルセットe”が聴けるなど,聴きどころが多いことも事実。

 曲の設定は久しぶりの「主人公=男の子」ソング。このタイプの曲を歌うとき,倉木の“中性的”な魅力が最大限に発揮され,聴く者に不思議な快感を呼び起こす。

 また,歌詞の使い方の面でも古くからのファンには楽しい仕掛けがある。

 かつて倉木は,「Delocious Way」などで,歌詞をあえて曲のフレーズからはみ出させ,あえて日本語を音韻化して英語風に聞かせるという工夫を行った。この曲では,その同種の工夫が見られるのである。

 たとえば,

 「P.S MY SUNSHINE 目  覚めさせて くれる広い世界」

 「こ  ころのyoroiとかし  てくれる太陽」

 このようなフレーズでは,日本語をあえて意味の切れ目ではないところで切ることによって不協和音的な独特のムードをかもし出している。他にも「渋滞=jutai」のように英語風に発音されている単語の存在等,過去数作の売り上げが思うように伸びなかったところから,このシングルに関しては“原点復帰”を模索しているのかもしれない。

 ファンは無条件に飛びつくだろうが,かつての「Love, Day After Tomorrow」時代の倉木のことを知らない世代にどうアピールしていくかがヒットの条件ということができるかもしれない。

 最後にPVについても一言触れておきたい。

 この曲のPVは東京都内の渋谷区,墨田区周辺で収録されていると思われるが,今まで関西圏ですべてをまかなう傾向があったGIZAとしては新しい動きが見えてきた。

 設定はコンビニの店員である倉木を中心に,彼女にひそかな思いを寄せる新人サラリーマン風の男性と,倉木の顔見知りである女子中学生(中島麻亜里 Loop)が捨てられた一匹の柴犬を仲立ちとして絡むという内容であるが,これが見事に曲の内容と合っていて,久々に見ていて楽しいPVとなっている。


「tell me your way」

 杏里(ANRI)(オリジナルは尾崎亜美)の名曲「オリビアを聴きながら」を髣髴とさせる秀逸なバラード。バラードとしての押さえどころはすべて押さえた無難な作品になっている。

 曲調は70年代の“ニューミュージック”を思い出させ,40代の男性のスウィートスポットをわしづかみにする。

 内容は倉木お得意の“人生応援歌”。内容に目新しさはなく,“捨てない限り夢は逃げて行かない”という「Stay by my side」以来の繰り返されるオプティミズム。

 「目をつぶって あなたを見る」

というようなフレーズには「Simply Wonderful」

 “I believe in you. I close my eyes and see.”

のメッセージも再現される。

 また,ここで歌われる愛は,やはり性愛「エロース」<ではなく神の愛「アガペー」。世の女子中高生の保護者は,再び娘を倉木のライブに安心して送り出すことができる。

 この曲は,今までのMai-Kソングのよく言えば集大成,悪く言えば再構築ということができるだろうか。