FUSE OF LOVE

CD No.:GZCA-5070  Release:2005年08月24日


*オリコンデータ
  1. 最高順位: 3 位
  2. 登場回数:13 回
  3. 初動枚数:108,269 枚
  4. 累積枚数:185,000 枚


 ファンはずいぶん長く待たされた。「If I Believe」から丸2年。間にベストアルバム「Wish You The Best」をはさむものの,“若い美人女性シンガー”としては異例の長さであろう。

 大学生とシンガーという二足の草鞋をはく倉木にとって時間のやりくりはかなり大変なことであったとは思われるが,その間数枚のシングル(一時かなり間を空けて)のリリースはあったものの,かつてのファンをつなぎとめることは難しかったようだ。デビュー以来続けてきたアルバムウィークリーチャート第1位の記録はついえ,このアルバムは初登場第3位,初動売り上げ11万枚弱という厳しい結果が現れた。全体の雰囲気もYoko Blackstoneを廃することで,R&B色を消し去り,("You look at me〜one"の編曲にのみMiguel Sa Pessoaの名が残るが)Cybersound色を封印し,前作のアメリカンポップス的な雰囲気を捨て,典型的なJapanese Popsアルバムとなっている。

 今までのアルバムにおいて,倉木は常に「メイン・テーマ」を意識し,その流れの中に各楽曲を配置してきた。「delicious way」における日本への新たなR&Bの紹介,「Perfect Crime」の歌詞における底抜けの楽天性と前向きさ,「FAIRY TALE」の少女から大人への階段を上る危うい乙女心,「If I Believe」での自己探求の旅…。こういったテーマの中で,倉木は日本を代表するコンセプチュアル・アーティストとしての地位を確立してきた。

   それでは,本作における基本コンセプトは何であろうか?

 アルバムコンセプトに関しては,倉木自身が各雑誌やラジオ出演等を通して何度も自ら語っているところであるが,CDの帯に"All 12 Story Songs"と記されているように,ストーリー性を持った曲を並べることによって,自ら経験し,考えてきた愛の姿を集大成するということになろうか。すなわち,オムニバス短編集を通じてひとつの世界を創造し,いわばバルザックの人間喜劇をも思わせるような壮大な試みである。

 ここで,一曲一曲の設定を確認してみよう。


■次を読む

indexに戻る