Don't leave me alone

 非常に地味な曲であり,ひょっとしたらプレイヤーのスキップボタンを押される方もいるかもしれないが,実はこの曲はこのアルバムのキーストーンともいうべき重要な曲である。

 歌詞を一読して目に付くのは「ドア」という単語。

 ドアは人と人を隔て,人と人をつなぐ。

 前曲「駆け抜ける稲妻」の中でも象徴的に使われている言葉であり,よく読むと,前曲と男女の立場が入れ替わっていることに気づく。つまり,この「Don't leave me alone」「駆け抜ける稲妻」アンサーソングでもあり,この2曲は表裏一体の存在なのである。その意味で,アルバム全体を規定するような役割を求められていると考えられる。その証拠に,

導火線の先 私も見てる」

と,アルバムタイトルが歌いこまれているのだ。

 相手を「あなた」と呼ぶときの倉木は,やはりいつものように“弱い女”になる。


Love,needing

 曲調はアルバム全体の雰囲気から外れていないのだが,先行発売されたシングル曲であるために,アルバムのテーマである「ストーリー性」は持っていない。

 最近のJ POP界では,先行シングル数曲+アルバム曲でアルバムを構成することが常套であるが,「FAIRY TALE」「Winter Bells」に違和感を持たれる読者ならお分かりいただけると思うが,テーマ性を持ったコンセプトアルバムを作ろうとするとその弊害が感じられる。

 しかし,シングル発表時には酷評されたこともある曲であるが,こうして改めて聴いてみるとなかなかの佳曲であることに気がつく。


ダンシング

 この曲も「Love,needing」と同様。やはりシングルを無理やり持ってきた感は否めない。歌詞にストーリー性もない。この曲が悪いと言うわけではないが,全体のコンセプトから考えれば,敢えてアルバムからはずすという勇気も必要だったろう。

Tell me what

 いわゆるいつもの「応援ソング」。歌詞にストーリー性はない。

 使われているのは,いつものMainglish

 なんか妙なものが多いが,そこはまぁ,ご愛嬌ということで…。

 メロディはいかにも“大野節”。サビのメロディは非常にキャッチー。ライブ映えしそうな曲である。


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