思わず作曲者の欄に「小室哲也」の名前を探してしまった。一時期のtrfや鈴木亜美が歌っていそうなムードを持った曲。倉木にとっては新しいパターンではないか?
“携帯ソング”とでも呼べるジャンルに分類できるのかもしれないが,絵文字を使って若者風俗を巧みに表現している。
少なくとも,倉木のケータイにはサブ画面がついていることが分かるのがファンにとっての収穫。
Mainglishのオンパレードで,英語詞は難解であるが,
"touch to you = I touch you"
"hold on = I hold your hand"
・・・なんとなく雰囲気で理解せよということか?ただ,気になるのは
for give me
というフレーズ。
forgive me
なら,「私を許して」だが,
for give me
となると・・・,「というのは,私に(愛を)ください」という意味か?難解。
しかし,曲自体は非常に分かりやすく,ヒット性を持った曲である。
明日へ架ける橋
私はこの曲は“倉木麻衣の代表曲”のひとつであると思っている。倉木のことを紹介するワイドショーなどではいまだにBGMとして「Love, Day After Tomorrow」が流れるが,私はもうそろそろこの曲に変わってほしいと思う。
ドラマチックな曲調,感動的な歌詞。再評価していただきたい名曲である。
「FUSE OF LOVE」のプロモーションとして,まず最初にオンエアされたのがこの曲であったことからも,倉木サイドがアルバム中の代表曲と考えていることが分かる。
ピアノ一本で歌い上げるところは"THE ROSE"を髣髴とさせる。作曲者も同じ大野愛果。演奏も大野自身ということ。
歌詞のストーリーは恋人を失った(亡くした)女性の悲痛な,しかし優しい心の叫び。
JR西日本の列車事故等の悲劇を受けて書かれた詞ということ。当然フィクションであるはずなのだが,なかなかのリアリティを持って聞かせてしまう。倉木の作詞家としての成長を示す1曲。
このアルバム中のベストチューンだと言うことは議論を待たないだろう。
メロトロンのような不思議な響きを持つイントロから始まり,曲はドラマチックに展開してゆく。ストーリー性はないものの,"always"以来の倉木麻衣の普遍的なテーマ,
「傷つくことを恐れず,勇気を持って前進せよ」
という強力なメッセージが伝わってくる。
エンディングの歓声は少し派手過ぎるかとは思うが,終盤に挿入されたハンドクラップはいい意味での“手作り感”を感じさせ好感が持てる。
ラブソングを歌う倉木はいつもなんとなく危なっかしいが,人生応援ソングを歌うときにはゆるぎない自信に満ちる。まさに倉木ワールドの真骨頂ということができるだろう。
もはや倉木にデビュー当時のような“衝撃”はないかもしれない。しかし“円熟”を増しながらしっかりと品格のあるアーティストへと成長してきた。ファンにとっては愛すべき1枚,はじめて聞く者にも安心して聞くことができる良盤といえるだろう。