「Time after time〜花舞う街で〜 (theater version)」 は映画「名探偵コナン 迷宮の十字路」の劇場用に作られたヴァージョン。ライヴでもこのイントロで演奏されている。(mfm)

 シングル解説でも述べたように,倉木はそれまでの「洋楽」であった自らの音楽的スタンスを再確認し,自らの中の「和」の世界を「発見」した。実際同時期の「平成の歌姫」たちが基本線において「洋楽」のイメージが強いのに対し,倉木はいち早く「和」の世界にもその守備範囲を広げた。もともと彼女の中には他のアーティストに見られないようなオリエンタリズムがあっただけに,倉木が「Time after time」や英語詞の無い「風のららら」を歌うとき,長い間探していたジグソーパズルの一片を見出したときのような充足感を感じるのは私だけであろうか。

 「Kiss」 ではしかし,Yoko B.Stoneの曲に乗せ倉木の音楽的ルーツでもある「洋楽=R&B」「再発見」される。

 「mi corazon」 とは「私の心」という意味のスペイン語。倉木は大学で第2外国語としてスペイン語を選択しているというが,この曲では大学生としての自分を「再発見」したのかもしれない。私はロマンス系言語としてはフランス語とラテン語は学んだことがあるがスペイン語は門外漢。乏しい知識を総動員して訳してみると

"Si no estoy contigo para que?"("If I'm not with you, what would you do?")「なぜ私のそばにあなたはいないの?」(倉木自身の訳(mfm))"

"Pero es que te quiero tanto."("But I love you a lot." )「でも私はあなたをとても愛している」

"No me des falsas esperanzas."("Don't give me the false hope.")「私に偽りの期待を持たせるな(もう嘘はつかないで!)」

という意味か。 スペイン語ができるなんてすごい!と思うが,倉木が敬愛するクリスティーナ=アギレラに「Falsas Esperanzas」という曲があるし,"te quiero tanto"(I love you)はありふれた表現なので,それほど驚かなくてもいいのかもしれない。ともあれラテンの曲ではあるが,あまり「洋楽」臭さを感じず,むしろ「コモエスタ赤坂」のように演歌の香りさえ漂う。

 この曲は仮題として「Slow Down」と呼ばれていたというが,ビートルズに同名の曲がある。  


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