*補論19
「Mai-Kとの距離」(2005.4.4)


 人と人との距離感と言うのは不思議なもので,二人の間の「距離」によって,目の前にいたらどうってことない女の子が,田舎から東京へ出て行ってテレビに出ると,大アイドルになってしまうこともあれば,どんなに美人でも,いつも一緒にいる奥さんにはトキメキを感じなくなったりもする。

 振り返ってみて,倉木麻衣という人は自分とどんな距離にいる人なのだろうか?

 私は中学生時代から,山口百恵のあとは洋楽しか聞いてこなかった。

 もちろん中心にあったのはビートルズであったが,その他にもストーンズやロッド=スチュアート,エルトン=ジョン,レッド=ツェッペリン,ディープ=パープルなどのイギリス系ロックにはまっていた。また,カーペンターズやビリー=ジョエル等,アメリカ勢にもお気に入りはあった。そんなこんなで,30年ばかり洋楽ばかりを聴いていたことになる。

 そんな私が,突然倉木麻衣一色になった。

 これはなぜだろう。

 ふと思ったのは,「距離感」と言うことだ。

 外国のアーティストは日本でどんなにブレイクしていても,やはり我々に入ってくる情報は非常に乏しい。しかし,分からないからこそ“知りたい”という気持ちにもなる。しかし,最後にはやっぱり“遠い人”だなぁ ・・・。という喪失感を感じざるを得ない。

 一方,日本の,特に大手プロダクション系のアイドルタレントになると,これは“いつでも”そばにいてくれる。歌番組にも出る。CMにも出る。雑誌にも出る。とにかく露出に事欠かない。しかし,余りに近すぎるためか,必然的に“飽きる”のも早い。天地真理やピンクレディはその最後の詰めで失敗し,山口百恵は見事に“けり”をつけたため,「伝説」となった。しかし,もっとも上手にやったのは紆余曲折を繰り返しながらも,いまだに準第一線で活躍を続ける松田聖子だろう。


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