No.2


 倉木のデビューに関しては,まったくの無名の新人でありながらボストンレコーディングを敢行したり,「Baby I Like」でのアメリカデビューを行わせたりとGIZAはなかなかよくやった。しかし,「Love, Day After Tomorrow」のプロモーションビデオの一件で物議を巻き起こし,さらには吉本興業をも巻き込んだ「パクリ謝罪要求事件」など,倉木にいわれなきダーティーなイメージを植えつけてしまったことは責任を追及されてしかるべきであるが,その後は巨大セールスを連発し,良質なタイアップを獲得するなど商才を発揮し,倉木をスターダムに押し上げたことは積極的に評価したい。しかし,そのGIZAが2003年はどうもおかしかったのだ。

 「補論4」で示したとおり,「風」がひとまず落ち着きを見せたときも2001-2002の倉木とGIZAはよくがんばった。水準以上の作品を投入し,コナン,シーブリーズ等のタイアップも評判を呼んだ。しかし,2003年はどうであったか。

各シングル,アルバム等一定の水準を上回りはしたものの,それまでの倉木と比べれば確実に売り上げを落としていることが分かる。その原因を総括してみると。

1.「Make my day」の曲調が倉木の声質に合っていないと不評買う。

2.「Time after time」:PVが静止画のみであると失笑を買う。また,コナン映画の主題歌であったが,映画のプロモーションが始まる前にCD発売を行ってしまい,効果的なタイアップとならなかった。

3.「Time after time」「Kiss」「風のららら」と3ヶ月連続してシングルを発売したが,結果として購買意欲の低下を招いた。

4.「風のららら」はTVコナンの主題歌であったが,そろそろコナン・タイアップが飽きられてきた。

5.「If I Believe」は前作「FAIRY TALE」発売から9ヶ月ほどの時間で発売されたために準備不足の感をぬぐえず,またシングル曲を多数収録したために,新鮮味にかけるところがあった。

6.7月以降の沈黙がファンの不満を呼んだ。

 等々である。これらの,「失敗」とまでは言わないにしても多少ちぐはぐな販売戦略はあまり成功したとは言いがたく,相対的に「倉木落ち目論者」を勢いづかせてしまった。まったく遺憾である。


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