No.3


 かつてエルヴィス=プレスリーは白人でありながら黒人のように歌い,マイケル=ジャクソンは整形を続け,黒人なのに白人のようになり,大人なのに子どものようでもあり,男なのに女のようでもあった。そして,こういった「どっちつかずさ」が彼らを歴史的スーパースターに仕立て上げた。振り返って倉木はどうだろうか。

 彼女のデビューは何度も言うが鮮烈であった。「こんな子どもがこんな大人びた歌をあんなにも上手に歌うなんて」という驚きは日本中に広がっていった。その後も人気者なんだけれども1位は取れない。東京じゃなくて大阪?(京都?)に住んでる。セクシーなんだけど子どもっぽい。頭よさそうだけどどこか抜けてる。歌うまいんだけどライブでは間違える。歌手なんだけど大学生…等々,倉木は非常に「中途半端」な存在である。だからこそそこには無限の可能性があり,常に留まることを知らず発展し続ける,この先どこまで伸びていくか分からない,ということが彼女の最大の魅力なのではないか。


■前に戻る

◆目次へ戻る