No.2


 日本のポップ・アーティストにとって古くからの大問題がある。それは「日本語をどうやって洋楽のリズムに乗せるのか」という問である。

 かつて,1960年代のロカビリーブームのとき,多くの日本人アーティストが洋楽のカバーを行ったが,往々にして見られたのは,日本人による日本語の歌詞をそのまま洋楽のリズムとメロディーに乗せたというもので,あまり成功したとは言いがたかった。ロック系の速いパッセージには母音が極端に多い日本語は乗せにくく,どうしてももったりとした印象を与えてしまい,洗練された音楽にはなりにくかった。この傾向はしかし長く続いたが,やがて新たな方向性が見えてきた。


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