No.6


 一方振り返って「倉木麻衣」とはどのような「歌手」なのか?実は彼女は非常に器用である。一聴して分かることであるが,"Love, Day After Tomorrow","The ROSE","不思議の国","イミテーション・ゴールド"を同じ人物が歌っているとはとても思えないのである。彼女もまた「七色の声」を持つ。そして,その多彩な表現力によって特にアルバムにおいては絢爛豪華な錦絵のごとき「Mai-K ワールド」を紡ぎだしている。そして,その才能こそが多くの倉木ファンを魅了しているわけだ。しかし,どうも批判者にとってはこの点が気に入らないらしい。不思議なことである。

 下手どころか,倉木は天才的な歌唱を身につけている。大野愛果のつむぎだす複雑なメロディを,若い頃からファルセットを多用しながらいとも簡単に歌いこなし,独特の歌の世界を築き上げてきた。近年ファルセットボイスを多用する「元ちとせ」が大きな話題となったが,倉木はもう数年前からそれを具現化してきている。「歌が下手」という中傷はおのずから消滅するであろう。


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