No.4


 そんな私に第2の転機が訪れた。あるときFMを聴いていた私の耳に聴き慣れないリズムと心を揺さぶるようなメロディが流れてきた。ポール=マッカートニーとウィングスの「ジェット」は,その後の私の運命を変える一曲となった。やがて,私は彼がかつて存在したビートルズという偉大なグループの中心メンバーであったことを知り,ビートルズと60年代そして70年代のロックにのめりこんでいくこととなった。

 80年代からはクラッシック音楽もよく聴いた。一時オーディオに懲り,百万円以上もするセットを集めて悦に入っていた。しかし,80年代半ばの「LIVE AID」(英米のスーパースターたちによるアフリカ飢餓救援活動)の頃を境に,ビートルズ以外の音楽というものをあまり聴かなくなってきた。

 その後ビートルズは私にとって「研究対象」にもなってきたが,結婚し子どもができ,音楽を楽しむ環境が整わなくなってきたこともあり,次第に熱狂的に音楽を愛することはなくなっていった。

 そんな沈滞し切った2004年1月,私は倉木麻衣に出会ったのである。


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