2つのバージョンがあるが,ベストアルバムにも収録された"Radio Edit"が事実上のA面か。
内容は愛し合う男女が破局を迎えたが,信じることによって何とか素敵な昔に戻ろう,信じ合うことこそ素晴らしい…というもの。どんなつらい内容になっても,最後に救われる倉木の楽天性は地か。
"simply wonderful"という表現は耳慣れないが,倉木の談によると「いいものはいい」。しかし「信じ合うことこそ 単刀直入に言って素晴らしいことだ」ということ。変幻自在のボーカルセンスはさすがであるが,内容に対して声がやや幼く感じる。20歳過ぎた今の方が背伸びせずに歌える曲であろう。
倉木のシングル曲はすべて次回のアルバムに収録されているが,例外的にこの曲だけはどのアルバムにも入っていなかった。本来なら「Perfect Crime」に収録されるべきものだが,シングル発売とこのアルバム発売との間にあまりにも時間が空いたため(10ヶ月),"賞味期限切れ"として収録が見送られたのかもしれない。
中間部に挿入された英語はかなり難解。
「あなたのこと信じてる 目を閉じてあなたを見る」
目を閉じたら見えないが,まぁこれは心象風景として許せる。
次の
「学んだことは 自分らしくあること」
のフレーズは倉木の全キャリアを通じて何度も何度も繰り返されるテーゼ。この曲にもひょっこりと顔を出す。
ただ以下のフレーズは意味不明。直訳すれば
「私は青を信じる 私は人生の鍵を選んだ」
「燃やしたものは(what we got to burn )自分らしくあること」
上段は,その数フレーズ前にある
「青い空遠くて君が見えない」
の「青い空」のことか?それならば
「いつか青い空を飛べる日が来ることを信じている そうしたら人生の意味が分かる」
という意味にも取れる。ただ下段に関しては
「自分らしくあることを 焼き捨ててしまう」 ことは,いつもの倉木の思想からすれば考えられないこと。実は"What we got to learn "のミスプリントではないのだろうか?聞きようによってはそう聞こえないこともない。「Wish You The Best」にもこのままの歌詞が収録されているが,意味の上からは疑問が残る。現状肯定的人生応援歌の名手倉木の通常から考えるとミスプリント説を採りたいところが,ライブ音源などを聞くとやはり"burn"と聞こえる。意味がとりづらい。
2.もやはり失恋の歌。暗い曲だが,ねちっこいメロディラインは妙に耳に残る。最後の英語詞はYOKO氏のペンだろうが,韻を踏んでいないので「歌」というより,「朗読」のように心に響いてくる。"Every single day"という表現は,スティング率いたPoliceの"Every Breath You Take"の中に見られるので,影響を受けているかもしれない。
息継ぎのブレスが大きな音で録音されている。意図的なものを感じるので,ビートルズの名曲"Girl"の影響を受けているのかもしれない。