テレビアニメ「名探偵コナン」のエンディングテーマに使われたことで,倉木の新しい側面を開拓した曲。しかし,番組とは離れて永遠の輝きを持つ名曲である。
大野愛果のメロディはここでは,主旋律は単純で,"I'll be with you.."の印象的なブリッジはあるものの,「A-B-A-B-サビ-A-B」とスタンダード。しかし,途中からかぶさってくるコーラスワークは絶妙。天上から聞こえてくる天使の歌声にさえ聞こえる。これが事実上「第3のメロディ」ともなっている。
もちろん倉木が意識しているはずはないが,このコーラスワークを聴くとバッハのオルガン曲を思い出す。主旋律に天から降りそそぐ和音が絡みつき,絶妙のタペストリーを織り上げる。
詞の面では注目すべき特徴がある。この曲では恋しい男性は「君」と呼ばれるが,倉木が男性を「君」と呼ぶとき,そこには突然「強い現代女性」が登場する。「Stay by my side」では「あなた」に「守ってもらう」倉木は,ここでは「君」を「守りたい」芯のある強い女性に変身する。
ずっと昔から(幼なじみ?)知っている男性がいる。主人公の「私」は「君」のことを愛しているがそれは「心の中の秘密」であって,彼はそのことに気付いていない。彼女は告白するチャンスを探しているが,ついにそれを決心する。…そのやさしいメロディともクロスして,確かに女子中高生の支持を受けそうな内容である。
英語詞は単純。ただ,中学生レベルを超えるのは"call for"。これは「…を要求する; …に値する; …を取りに[連れに]行く; …を必要とする」という意味。(三省堂「EXCEED 英和辞典」より)絶対チャンスをつかむぞという強い意志がうかがわれる。
2.は倉木お得意の「人生応援ソング」。起伏の激しいメロディを上手に歌いこなしている。
傷つき元気をなくした友人に
「夢を捨てずにもう一度がんばれ!だって君の人生なんだから」
と歌うのだが,曲調が暗く,余り応援になっていない。英語詞も単調。
ただ,ファンの間では非常に人気が高い曲。メロディは非常に美しく,次のシングル候補にも挙がっていたらしい。作曲者の大野愛果がセルフカバーアルバム「Shadow of Dreams」でこの曲を再録しているが,純粋にメロディラインだけを楽しもうと思えばこちらの方がお薦め。倉木バージョンより肩の力が抜けていて気軽に聞くことができる。