「Secret of my heart」 は原曲の趣をかなり変えている。もう少し忠実であってもよかったのではないかとも思うが,これが「アメリカ人好み」の音なのだろうか。歌詞はかなり「英語らしい英語」になっており,かなりのサジェスチョンがあった模様。

 「Did I Hear You Say That You're In Love」 は非常によくできたラブ・バラード。作詞はバックバンドのリーダーとして倉木を支えるexperienceのギタリスト,ジェフリー=クェスト。

 「NEVER GONNA GIVE YOU UP」 はどうやら日本発売盤と同じもののようだ。なお,この曲は日本語詞を含むために,日本語のCDの発売が許可されていなかった当時の韓国盤には収録されていない。

 「Baby I Like」 は倉木の記念すべきアメリカデビューシングルの再録。シングルは廃盤のため公式にはここでしか聞けない。ただし,このアルバムもかなり入手難となってきたので,今後は厳しくなるか。曲はあまりにも大人びた曲を16歳の少女が歌うというところにミスマッチの面白さがある。訳詞を読んでそのエロチックさに驚いたという感想のメッセージをよくいただく。

 「Stay by my side」 では,歌詞がかなり日本語詞の直訳ふうなので,倉木自身の手が一番かかっている詞かも知れない。

 「Can't get enough 〜gimme your love〜」 は日本語では,あまり品のよい曲ではなかったが,こちらの方がぐっと来る。当然,新詞ではなくこちらがYoko Black.Stoneのオリジナルであったのだろう。

 「Delicious Way」 は表現がかなりこなれた英語,"ain't"などは倉木ひとりでは使えなかったのではないか。アドバイザーの力が大きい。アレンジが日本語盤より薄っぺらくなったような印象。聴き方によってはちょっとコミカル。

 「Love, Day After Tomorrow」 ,この詞もかなり直訳調。ただ,表現は改められているところが多い。気がつくのが日本語詞では"Stay with me!"と歌われるところが,単に"Saty!"とだけ歌われているところ。この方が英語としてはこなれているということで直されたか?

 「Stepping ∞ out」 はこなれた英語とたどたどしい英語が混在。倉木が辞書を引きながら,分からないところをアドバイザーに熱心に尋ねているシーンが思い浮かぶ。(一緒にはいなかったかもしれないが)「やさしさも せつなさも さびしさも」を敢えて日本語で歌うところがミソ。ジャケットに写っている塔といい,何か浅草で売っている外国人向けのお土産品のようなまがまがしさを感じてしまう。

 「Baby Tonight 〜You & Me〜」 は英語は結構それらしいのだが,"I'll give you my life""you're in my life"のような"life"を「人生」という重い意味に使いたがる大仰さはいつもの倉木。

 「's All Right」 はシングルとは違うバージョン。

 発売の意図が今ひとつ分かりにくいアルバムではあるが,日本のファンや実はアジアのファンにとっては大変ありがたいアルバムとなったのではないだろうか。実際に2004年になるまで韓国では日本語曲のCDは発売禁止であったが,このアルバムは販売できたのだから。(韓国盤では「NEVER GONNA GIVE YOU UP」に日本語が含まれるために,この曲が削除されて,収録曲は全11曲となっている。)


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